Armは、ITインフラストラクチャ向けプラットフォーム「Arm Neoverse」ファミリーとして、第3世代となる3つのCPUコア「V3」「N3」「E3」を発表した。同時に、SoC(System on Chip)の設計を支援する「Neoverse Compute Subsystems(CSS)」として「CSS V3」および「CSS N3」も発表した。
Armは2024年2月22日、ITインフラストラクチャ向けプラットフォーム「Arm Neoverse」ファミリーとして、第3世代となる3つのCPUコア「V3」「N3」「E3」を発表した。同時に、SoC(System on Chip)の設計を支援する「Neoverse Compute Subsystems(CSS)」として「CSS V3」および「CSS N3」も発表した。高い処理性能と柔軟性、エコシステムを強みに、AI(人工知能)などインフラストラクチャ市場においても、Armアーキテクチャ製品のシェア拡大を狙う。
Arm Neoverseは、クラウドやエッジ、5G(第5世代移動通信)ネットワークなどの用途に最適化したプラットフォーム。さまざまなワークロードの特性に対応するため、3つのシリーズを用意している。シリーズの中で最も高い処理性能を備えた「Vシリーズ」、必要となる性能に対し価格と電力消費のバランスが取れたCPU設計を可能にする「Nシリーズ」、電力消費を抑えつつ高いデータスループットに対応した「Eシリーズ」である。
ITインフラストラクチャに向けたシステムでは、より強力でコスト効率に優れたコンピューティングのニーズが高まっている。AIをベースとする大きなイノベーションがその背景にある。その一つが生成AIへの対応である。新たに投入する「V3」「N3」「E3」および、「CSS V3」「CSS N3」は、パートナーと一緒になってこれらの課題を解決するために開発した。
事前に必要となる機能を統合し検証を終えたCSSを活用することで、用途に適したSoCをより短い期間で開発することができる。これによって、Neoverseユーザーは、システムレベルの差異化に自社の開発リソースを集中できるという。基本性能も向上させた。例えば、CSS V3はソケット当たりの性能が、CSS N2に比べ50%も向上した。CSS N3は、ワット当たりの性能をCSS N2に比べ20%向上させたという。
最も重要なAIワークロードの性能についても、「XGBoost」の最適化などにより、V3はV2に比べて84%、N3はN2と比較し196%もそれぞれスコアを改善させた。Metaが開発した大規模言語モデル「Llama2」に対しても性能改善を図った。
ハイエンドサーバ向けSoCでは、チップレット技術への対応も不可欠である。コストダウンや開発資産の再利用、性能向上といったメリットが得られる半面、物理レイヤーの互換性やプロトコルレイヤの相互運用性、割り込み機能やセキュリティへの対応といった課題もある。これらの課題を解決するためArmは、パートナーと連係し「Chiplet System Architecture(CSA)」を立ち上げ、ユーザーをサポートしていく。
また、CSSをベースとしたカスタムSoCを迅速に提供するためのエコシステム「Arm Total Design」も展開する。ASICデザインハウスやIP(Intellectual Property)ベンダー、EDAツールのプロバイダー、ファウンドリー、ファームウェア開発者など、Arm Total Designのパートナー数は既に全世界で20社を超えたという。
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