ルネサス エレクトロニクスは、32ビットマイコン「RAファミリー」として、480MHz動作のArm Cortex-M85コアを搭載した「RA8M1」の量産を始めた。「RA8シリーズ」の第1弾となる製品で、6.39CoreMark/MHzという高い性能を実現している。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2023年10月、32ビットマイコン「RAファミリー」として、480MHz動作のArm Cortex-M85コアを搭載した「RA8M1」の量産を始めた。「RA8シリーズ」の第一弾となる製品で、6.39CoreMark/MHzという高い性能を実現している。
RA8シリーズは、ArmのMプロファイルベクトル演算拡張機能「Arm Heliumテクノロジー」を採用している。これによって、Cortex-M7コアをベースとしたマイコンに比べ、デジタル信号処理やML(機械学習)の処理性能は最大4倍も向上するという。
RA8シリーズは高いセキュリティ機能も備えている。Cortex-M85コアに搭載された「Arm TrustZoneテクノロジー」に加え、ルネサスのセキュリティIP(RSIP-E51A)を内蔵しており、最新の暗号アクセラレーターや真のセキュアブートをサポートする。
また、ハードウェアRoot-of-Trustを実現するためのイミュータブルストレージやDOTF(Decryption-On-The-Fly)に対応するOctal SPI、セキュア認証デバッグ、セキュアなファクトリプログラミング、改ざん防止なども備えている。
Armv8.1-Mアーキテクチャでは、ポインター認証や分岐ターゲット識別(PACBTI)というセキュリティ拡張機能を採用している。これによって、ソフトウェア攻撃の脅威を軽減できるという。PSA Certified Level 2+Secure Element(SE)やNIST CAVP、FIPS 140-3といった認証も取得する予定である。
この他、RA8M1グループの主な仕様は、メモリとして2M/1Mバイトのフラッシュメモリや1MバイトのSRAM(TCMを含む、512KバイトはECC保護付き)を搭載。パッケージは100/144/176端子のLQFP、224端子のBGAを用意した。
同時に、RA8M1応用機器を速やかに開発できるよう評価キットの販売も始めた。さらに、FSP(Flexible Software Package)も提供する。FSPには、さまざまなRTOSやBSP(Board Support Package)を始め、周辺ドライバー、ミドルウェア、コネクティビティ、ネットワーク、セキュリティスタックといった基本ソフトウェアに加え、複雑なAI、モーター制御、クラウドソリューションを構築するためのレファレンスソフトウェアなどが含まれる。ルネサス製のデバイスを組み合わせた、動作検証済みの「ウィニング・コンビネーション」も400種類以上を用意し、提供している。
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