台湾の半導体受託開発/設計メーカーである Faraday Technology(以下、Faraday)が、Intel 18Aプロセス技術を使用し、Intel Foundry Services(IFS)でArmの「Neoverse」ベースの64コアサーバプロセッサを製造するという。
ArmとIntelは2023年4月に、Intelの1.8nmプロセスノード「Intel 18A」で半導体を製造する協業契約を結んだが、ついにその実現に向けた道が収束する。台湾の新竹市に拠点を置く半導体受託開発/設計メーカーである Faraday Technology(以下、Faraday)が、Intel 18Aプロセス技術を使用し、Intel Foundry Services(IFS)でArmの「Neoverse」ベースの64コアサーバプロセッサを製造するという。
Faradayは、Armの用途特化型シリコン開発の効率化を可能とする事前検証済みプラットフォーム「Neoverse Compute Subsystems(CSS)」を利用し、幅広いアプリケーションに向けた64コアプロセッサを設計している。これにはHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)関連のASICや、スケーラブルなハイパースケールデータセンター、インフラストラクチャエッジ、5G(第5世代移動通信)ネットワーク向けのカスタムSoCが含まれる。Faradayは、これらのプロセッサの販売は行わず、エンドカスタマーについても具体的な社名は明かしていない。
Armにとって、大規模データセンター向けチップ分野への進出は、大きなブレークスルーだ。また、個々のCPU/GPUコアではなくCPUサブシステムとして提供されるNeoverse CSSのデザインウィンでもある。Faradayは、Neoverse CSSをベースとしたカスタムSoCの円滑な提供に取り組むエコシステムである「Arm Total Design」のインタフェースIP(Intellectual Property)も使用する予定だとしているが、詳細については明かしていない。
Intelは、x86チップが優位性を確立しているサーバ分野へのArmチップの進出に乗り気ではないだろうが、それでも同社の新しいIFS事業へのArmの参加は歓迎している。Armチップは、Intelの工場で製造する最初のArmサーバプロセッサの1つとして、同社の最先端の製造プロセスノード向けに重要な顧客を提供するだろう。
Intelの1.8nm世代プロセス技術であるIntel 18Aは、同社の誇るGAA(Gate-All-Around)構造を持つFETである「RibbonFET」と、バックサイド電力供給技術「PowerVia」を適用し、同社の2nm世代プロセス技術「Intel 20A」と比べてワット当たり性能を10%向上させるという。特にデータセンターアプリケーション向けに適していると期待される。
Intelは既に、米国国防総省(DoD)の1.8nmノードチップをはじめ、データセンター向けチップの受注を確保しているという。台湾の大手半導体設計メーカーFaradayがIntelでArmベースのチップを手掛けることで、IFSの受注が増加し、データセンター向けチップとしての信用も高まるだろう。
このFaradayチップの製造は、2025年前半に開始される見込みだという。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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