Armは、エッジAI(人工知能)に向けたNPU(ニューラルプロセッシングユニット)ファミリーとして、新たに「Arm Ethos-U85」を発表した。前世代品に比べ性能は4倍に、電力効率は20%も向上させた。また、開発期間の短縮を可能にするIoT(モノのインターネット)レファレンスデザインプラットフォーム「Corstone-320」も同時に発表した。
Armは2024年4月9日、エッジAI(人工知能)に向けたNPU(ニューラルプロセッシングユニット)ファミリーとして、新たに「Arm Ethos-U85」を発表した。前世代品に比べ性能は4倍に、電力効率は20%も向上させた。また、開発期間の短縮を可能にするIoT(モノのインターネット)レファレンスデザインプラットフォーム「Corstone-320」も同時に発表した。
Armはこれまで、Ethos NPUファミリーとしてMACユニットが32〜256個の「Ethos-U55」や、256〜512個の「Ethos-U65」を提供してきた。今回発表した「Ethos-U85」は、MACユニットを128〜2048個まで拡大し、最大4TOPSの性能を実現した。このため、より高性能なエッジAIシステムの開発が可能となる。
Ethos-U85は、MACユニットを増やしただけでなく、深層学習の手法として、これまで対応してきたCNN(畳み込みニューラルネットワーク)やRNN(回帰結合型ニューラルネットワーク)に加え、Transformerネットワークにも新たに対応した。なお、Ethos-U85はホストプロセッサとして、Armv9ベースの「Cortex-A CPU」に対応しており、Linuxユーザーも、Ethos-U85内蔵のASSPを活用することが容易になる。
Corstone-320は、機械学習(ML)やDSPの処理性能を高めた「Arm Cortex-M85 CPU」をはじめ、「Mali-C55イメージシグナルプロセッサ(ISP)」や「Ethos-U85 NPU」などを集積した。これを活用することで、リアルタイムの画像分類や物体認識、スマートスピーカーによる自然言語翻訳対応の音声アシスタント、といった応用システムの開発期間を短縮することが可能になる。
さらに、Cortex-M85用のファームウェアをはじめ、Mali-C55やEthos-U85用のデバイスドライバー、エッジAI機器向けの簡単なサンプルコードなども用意した。Corstone-320を活用することで、ICチップが出荷される前からソフトウェア開発を始めることができ、応用製品を市場に投入するまでの期間を短縮できるという。
エッジAIの領域においてもArmの強みは、ソフトウェアやツール関連など充実したエコシステムにある。Corstone-320では、プロトタイピングプラットフォームとして、「バーチャルハードウェア」や「オンプレ用のシミュレーション環境」「FPGA」なども用意されており、事前にシステムの検証を行うことができる。
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