今後の業績の回復について、柴田氏は「第2四半期も第3四半期も極端に良くも悪くもならず、微増になるのではないか」と予想。半導体業界全体では供給不足が解消し、在庫消化も進んできているが、供給不足の最悪期に在庫拡充が遅れた非大手の顧客層は在庫消化も遅れているためだという。エンドユーザーの需要が強く回復していないことも理由だ。
決算説明会では、出席者から「AI関連の需要が増加していることの影響はどの程度か」と質問があった。これに対し柴田氏は、「厳密にAI関連の製品といえるGPU周辺のパワーデバイスに限れば、全社売り上げに対する割合は数パーセント程度で、今後も大きく変わるとは想定していない」とした上で、「AIの普及による副次的な効果として、DDR5メモリモジュールへの移行が加速することなどには期待したい」と述べた。
競合メーカーとのシェア争いについても質問があった。Infineon Technologies(以下、Infineon)は2024年4月9日(ドイツ時間)、2023年の車載マイコン市場で同社がシェア29%を獲得し世界1位になったと発表していた。これを受けた「車載マイコンのルネサスのシェアはどうなっているか」という質問に対し、柴田氏は「Infineonの発表の元となった調査では、車載マイコン市場でルネサスが6%シェアを落としたとあった。シェア低下のうち半分程度は為替や在庫の影響による一過性のものだと見ているが、もう半分は実際にシェアが低下しているという見立てだ」と説明。この理由について「ルネサスの製品スペックが市場のメインストリームと合わない部分があった結果だと考えている。ルネサスは40nm/28nmプロセスへの移行が早かったことで売り上げを伸ばしたが、その後市場では少し違う仕様が要求されるようになった。Infineonがそこをうまく捉えたのではないか」と分析した。今後については「シェア低下は数年かけて埋めていく。現在ルネサスは市場の要求に沿った製品を提供できているため、悲観していない」と語った。
なお、第1四半期に発表したTransphormとAltiumの買収については、順調に進んでいるとした。
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