清水氏は今回、SSSの事業を3つに分類し、各領域の方向性を明確にしていくという方針についても説明した。下記がその3事業領域の概要だ。
SSSの主力であるモバイル向けイメージセンサーについては、「成長けん引事業領域」と設定。今後も成長投資を継続しながら中長期で同社全体の成長をけん引していくことをと期待しているという。
カメラおよび産業/社会インフラ用イメージセンサーは「収益事業領域」と位置づけ、高い競争力を維持/強化しながら収益を最大化していく方針。そして、車載イメージセンサーやシステムソリューションおよび、OLEDマイクロディスプレイや半導体レーザーは「戦略事業領域」と設定。事業のスケール拡大や収益化には一定の時間を要するものの、「将来のビジネスの柱に育てるべく成長を見込む領域に戦略的に投資していく」と説明していた。
清水氏は、2030年度までのイメージセンサー市場の見通しについても説明。全体としては前年(2023年5月)の事業説明会時点から約1年遅れとなることを見込んでいるという。なお、同社は2023年5月の事業説明会でも、景気減速を受けてその前年(2022年)の事業説明会時点から見通しを変更していた。
清水氏は、「市場の過半を占めるモバイルイメージング領域はここ数年緩やかな成長にとどまっている。これは主にスマホ市場がわれわれの当初の期待に届かなかったことに起因する」などと説明していた。一方で、「市場におけるセンサー大判化は順調に進んでいて、それがセット市場の停滞を補う構図となっている」とも言及。足元ではスマホ市場も底を打ち、緩やかながら回復の兆しが見えていることに加え、大判化のトレンドも継続すると見ていることから、「今後はセンサー市場全体の成長を大きくけん引していくと期待している」と述べた。
センシング領域も同様に見通しを下方修正しているが、「中長期で緩やかに成長していく見方に変更はない」と説明。また、カメラ(AV)領域についてはセット市場の全体的な数量は伸びない中でも、「高付加価値機種の販売が好調」といい、センサー市場としては前年度比でわずかに上方修正しているという。
こうした状況から、全体として2023〜2030年度の年平均成長率(CAGR)は前年度発表時と同様に約9%となることを見込んでいて、清水氏は「イメージセンサーは今後も成長市場であるという見方は変わりない」と強調していた。
なお、イメージセンサー市場の金額シェア(ソニー調べ、指紋認証センサーを除く)は2023年、前年比4ポイント増の53%で着地していて、2024年には58%に拡大する見通しだ。清水氏は、2025年にシェア60%という目標についても「達成できる」と強調。「2025年以降も市場が成長していく中で、さらにポジションを強固にし、もう一段のシェア向上を目指す」と意気込んだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.