GaN専用300mm QST基板、信越化学がサンプル出荷 : GaNデバイスの製造コスト削減へ
信越化学工業は、GaN専用の成長基板であるQST基板について、300mm化を実現し、サンプル出荷を始めた。大口径基板を用いることでGaNデバイスの製造コストを抑えることが可能となる。
信越化学工業は2024年9月、GaN専用の成長基板であるQST基板について、300mm化を実現し、サンプル出荷を始めた。大口径基板を用いることでGaNデバイスの製造コストを抑えることが可能となる。
QST基板は、米国Qromisが開発したGaN成長専用の複合材料基板で、信越化学は2019年にライセンスを取得した。これまでに、直径が150mmと200mmのQST基板および、GaN on QSTエピタキシャル基板を販売してきた。そして今回、300mm QST基板の開発に成功した。150mm、200mmのQST基板について設備増強を進めると同時に、今後は300mmQST基板の量産化にも取り組む。
開発した300mm QST基板は、GaNと熱膨張係数が同等である。このため「反り」や「クラック」がない高品質の厚膜300mm GaNエピタキシャル成長が可能となる。既に国内外の顧客は、QST基板および、GaN on QSTエピタキシャル基板を用いて、パワーデバイスや高周波デバイス、LEDの開発に乗り出しているという。
QST基板の外観イメージ[クリックで拡大] 出所:信越化学
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