原子配列を制御してCNTを合成 東北大:NiSnFe触媒を用い合成条件を最適化(2/2 ページ)
研究グループは、詳細な合成メカニズムも解明した。これにより、「NiSnFe触媒ナノ粒子がNiのコアとNiOのシェルに分かれたコア/シェル構造を取る」ことや、「Niのコア部分がNi+SnとNi+Feの領域に偏析する」ことが分かった。さらに、Ni+Snのコア部の一部にNi3Snという特異な結晶が存在することも明らかにした。実験結果と密度汎関数理論(DFT)計算により、Ni3Sn(0001)面における特定の原子配列が、(6,5)CNTのカイラリティを決める主要因であることを突き止めた。
また、超高純度(6,5)CNTが束状に集合した(6,5)CNTバンドル構造も繰り返し観測され、孤立状態の(6,5)CNTに比べ蛍光発光寿命が20倍以上も長くなることが判明した。この要因として、「同じカイラリティのみから構成された特異な束状構造が、ある種の超結晶に近い構造体を持ったことによる効果」との考えを示した。将来的には、同一のカイラリティCNTのみを束ねることで、CNT超結晶を形成できる可能性があるという。
NiSnFe触媒の走査透過型電子顕微鏡(STEM)像とその原子構造解析結果および、同一粒子に対する元素マッピングの結果[クリックで拡大] 出所:東北大学他
5)CNTで構成された束状構造の透過型電子顕微鏡(TEM)像,上図は超高純度(6,5)CNTで構成された束状構造の透過型電子顕微鏡(TEM)像。左中央はそのコントラストをa−bラインで切り出した図。右中央はシミュレーション解析から推測した(6,5)CNT束状構造のモデル図。下図は孤立した(6,5)CNTと、束状(6,5)CNTのPL寿命特性[クリックで拡大] 出所:東北大学他
今回の研究は加藤俊顕氏の他、東北大学大学院理学研究科の是常隆教授、同大学材料科学高等研究所の井上和俊准教授、産業技術総合研究所の劉崢上級主任研究員、理化学研究所の加藤雄一郎主任研究員と寺嶋亘研究員、東京大学大学院工学系研究科の幾原雄一特別研究教授(東北大学材料科学高等研究所兼務)、東京大学・日本電子産学連携室の斎藤光浩副室長らが共同で行った。
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