今回は、サーバの主なフォームファクター(外形の形状と寸法)を解説する。大きく分けて、3つのフォームファクターがある。
サーバやデータセンターなどの放熱技術に注目が集まっている。演算処理を担うGPUとCPUの最大消費電力(熱設計電力(TDP))が増加しつつあることで、効率の高い放熱技術が強く求められるようになってきた。
そこで本コラムでは、サーバやデータセンターなどを支える最新の放熱技術をシリーズで前々回から解説している。前々回(初回)では熱に関する基礎的な知識を述べた。続く前回では、放熱と冷却の基本的な方式を説明した。
本シリーズの主題は「AIサーバの放熱技術」である。そこで今回は、サーバの主なフォームファクター(外形の形状と寸法)を復習の意味で解説する。大別すると、3つのフォームファクターがある。サーバシステムのハードウェアから見ていくと、小規模なのが「タワー型」、高密度なのが「ブレード型」、大規模なのが「ラック型」となる。
タワー型サーバの特徴は、名称通りの「塔(タワー)に似た形状」と、システムとして「独立している(「スタンドアロン」とも呼ぶ)」ことにある。タワー型サーバはプロセッサやメモリ、ストレージ、通信(イーサネット)、機能拡張用スロット、外部ストレージ用インタフェース、電源ユニットなどを備える。液晶ディスプレイやキーボードなどを備えた製品もある。
タワー型サーバの大きさ(外形寸法)は規格化されていない。製品でみると横幅の狭いスリムタイプと横幅が広い標準タイプがある。スリムタイプの幅は100mmくらい、標準タイプの幅は200mmくらい。高さはスリムタイプと標準タイプのいずれも370mm〜400mmである。奥行きはいずれも470mm〜600mmとかなり長い。
ブレード型サーバの特徴は、独自の構成にある。バックプレーンを兼ねる筐体(「シャーシ」「エンクロージャ」などと呼ばれる)と、薄く平たいサーバで構成される。シャーシは電源やイーサネットスイッチ、冷却ファンのアレイ、外部ストレージ、入出力モジュールなどを備えている。演算処理や記憶処理などの機能は備えていない。
サーバはプリント基板にCPUモジュールやメモリモジュール、内蔵ストレージ、イーサネットインタフェースなどを搭載した薄い箱型のユニットで、シャーシのバックプレーンに挿入して使う。電源や外部ストレージなどを省いているので、実装密度は高い。また全体の幅は19インチよりも短いので、サーバラック(後述)に搭載できる。なお「ブレード」とは「刃」の意味で、サーバユニットが刃のように薄いことに由来する。
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