ソニーセミコンダクタソリューションズが、モバイル用の5000万画素CMOSイメージセンサー新製品「LYT-818」を商品化した。低照度時のノイズを大幅に低減すると同時に、新方式のHDR機能を初搭載し、86dBのダイナミックレンジ性能を実現している。
ソニーセミコンダクタソリューションズ(以下、SSS)は2024年9月25日、モバイル用の5000万画素CMOSイメージセンサー新製品である「LYT-818」を同月に商品化したと発表した。低照度時のノイズを大幅に低減すると同時に、新方式のHDR機能を初搭載し86dBのダイナミックレンジ性能を実現している。
「LYT-818」は、SSSがモバイル向けカメラセンサーブランドとして展開する「LYTIA」の新製品。主にスマホのメインカメラおよびサブカメラに向けでイメージサイズは1/1.28型(対角12.49mm)のイメージセンサーだ。その主な特長として同社が挙げるのが、低照度時のランダムノイズを大幅に低減する独自の「UHCG(Ultra High Conversion Gain)回路技術」の採用および、広ダイナミックレンジ性能を実現する独自の新方式HDR機能の搭載だ。
UHCG回路技術は、フォトダイオードで生成された電荷を、高効率に電圧に変換可能とするもので、暗い環境下での撮影時に発生するランダムノイズによるざらつきを低減。RN(ランダムノイズ)は0.95e-と、SSS製のモバイル用CMOSイメージセンサーにおいて最高の性能を実現しているという。同社は、「これにより、暗所撮影時の再現性を改善し、センサーが持つ色の階調表現の能力が向上する」と述べている。
今回初採用となった新方式のHDR機能は具体的には、1度の露光で蓄積された電荷を、異なる3種類のゲイン設定で読み出し、それらのデータを合成する方式で、86dBのダイナミックレンジを実現。逆光のような明暗差の大きなシーンの撮影において白飛びや黒つぶれを抑え、肉眼に近い撮像を可能とする。また、動く被写体を撮影する際のアーティファクト(動体ゴースト)の発生も抑えることができるという。
さらに今回の製品では、ロジック回路を中心にセンサーとしての低消費電力化を図ったことで、HDR機能の常時使用を実現。「スマホのプレビュー画面で見る映像と同等の映像を記録することができ、撮影体験の向上に貢献する」としている。
LYT-818の主な使用は下記の通り。
イメージサイズ | 1/1.28型(対角12.49mm) | |
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有効画素数 | 約5000万画素 | |
ユニットセルサイズ | 1.22μm×1.22μm | |
カラーフィルター | Quad Bayer Coding | |
フレームレート | 全画素(4:3) | 30fps(全画素AF) |
12.5Megapixels(4:3) | 120fps(全画素AF) | |
4K2K | 120fps(全画素AF) | |
12.5Megapixels(Multi Frame-HDR) | 60fps(2 Digital Over Lap、全画素AF) | |
12.5Megapixels(Single Frame-HDR) | 60fps(Dual conversion gain-HDR、全画素AF) 30fps(新方式HDR、全画素AF) |
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電源電圧 | アナログ | 2.8V/1.8V |
デジタル | 0.81V | |
インタフェース | 1.8V or 1.2V | |
出力インタフェース | MIPI C-PHY 2/3 trio, Max. 6.0Gsps/trio MIPI D-PHY 2/4 lane, Max. 2.5 Gbps/lane |
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