東京科学大学は、高感度の水素ガスセンサーを開発した。従来に比べ1桁低い濃度の水素を検出することが可能となるため、リチウムイオン電池の劣化防止などに応用できるとみている。
東京科学大学総合研究院フロンティア材料研究所の真島豊教授らによる研究グループは2024年11月、高感度の水素ガスセンサーを開発したと発表した。従来に比べ1桁低い濃度の水素を検出できるようになるので、リチウムイオン電池の劣化防止などに応用できるとみている。
水素ガスセンサーは、金属酸化物半導体型や接触燃焼型、気体熱伝導型などが開発され、ガス警報器などに搭載されている。中でも金属酸化物半導体型は、反応によってキャリア濃度が変化すると、ガス検出材料の電気抵抗も変わる。この抵抗値を測定してガス濃度を検出する。今回は、ガス検出材料として「空隙を含むナノワイヤ構造」を検討した。
研究グループはこれまで、電子線リソグラフィ(EBL)を用いて、ギャップ長が33nmの白金ナノギャップ電極を作製する技術を確立してきた。そして今回、この技術を活用しナノギャップ間を跨ぐように銅ナノワイヤを形成。その後、2段階の加熱処理を行って銅を酸化させ、酸化銅ナノワイヤに空隙を形成した。
実験の結果、開発した空隙を含む酸化銅ナノワイヤナノギャップガスセンサーは、5ppbという極めて低濃度の水素ガスに応答することが判明した。さらに、センサーの応答・回復速度におけるギャップ長依存性と印加電圧依存性を調べた。そうしたところ、ギャップ長が33nmと狭い場合や印加電圧を上げた時に、応答速度が格段に高速化することが分かった。
研究グループは、検出したいガスに適した材料を用いてナノギャップガスセンサーを開発すれば、さまざまなガスセンサーを高速化、高機能化することが可能とみている。
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