工場でウエハーからハイエンドチップを生み出すには、数カ月間にわたって数百もの工程を実行し、各工程では原子レベルの極めて高い精度が求められる。欠陥は、必ずどこかで発生する。このため歩留まりは、ウエハー上の欠陥の数と程度を示す非常に重要な物差しになっている。ハイエンドチップではいかなる欠陥もほとんど許容されないが、同じアーキテクチャで欠陥率の高いチップが、格付けの低いアプリケーション用に使われるケースはある。
最終的な品質チェック(計測検査)によって、半導体チップの性能が決定されるまでは運用コストが生じるため、メーカー各社が歩留まりの最大化を目指しているのは明らかだ。
半導体チップの複雑性が増すにつれ、計測の役割はますます重要になっている。高性能半導体デバイスの品質/機能性を確保するためには、半導体チップの機能を正確に計測/検査する計測が不可欠だ。これは、既存の2D計測技術ではもはや不十分とされる3Dヘテロジニアスインテグレーションにおいて、特に顕著だといえる。
新しい計測ツールは、複雑な3D構造をナノメートル精度で高速測定できるよう設計されていて、欠陥の検出や、限界寸法の監視、半導体デバイスに使われる材料品質の検証などにおいて不可欠とされる。
例えば、AIアプリケーションに(もはや)必須となりつつあるHBMユニットの製造では、複数のDRAMユニットの垂直統合に原子スケールの精度が求められる。ダイにチャネルを加工し、各レイヤーを最高の精度で接続する必要があるため、計測は製造プロセスの重要なステップになる。
メーカー各社は、計測技術と検査機器技術の両方を進化させているが、これは特に3Dヘテロジニアス統合などの高度なプロセスにおいて、半導体チップの品質と歩留まりを確保するために不可欠だ。
AIやその他の高度なコンピューティング技術の需要が高まるにつれて、より高いパフォーマンスや効率、前例のないレベルの統合を実現できる半導体チップの必要性も高まっている。3Dヘテロジニアス統合と高度な計測を組み合わせることで、これらの需要に応え得る道が開かれ、高速、小型でエネルギー効率の高いチップの製造が可能になるだろう。
例えば、ドイツMerckが買収したフランスの半導体検査装置メーカーUnity-SCが提供する、インターコネクト検査用の3D光計測ソリューションや、量産向けの計測技術の専門知識が、役立つのではないか。
チップのアーキテクチャがますます複雑になるにつれ、半導体を(パッケージなども含め)正確に検査することも重要になってくる。高い歩留まりを維持するためにも、欠かせない技術になるだろう。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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