2023年に、IntelによるTower買収が中国の規制当局によって却下された後、Towerは3億米ドルを投じ、米国ニューメキシコ州にあるIntelファブの生産能力を獲得した。Towerは2021年にも、STMicroelectronicsがイタリアに保有するAgrate工場に同様の投資を行っている。
TowerはIntelとの協業により、パワーマネジメントICの生産を拡大できるようになるだろう。
Racanelli氏は、「これは当社と顧客にとって、300mmウエハーの大きな生産能力となる。現在、当社が日本に保有している小規模な300mm工場にしかない最先端のパワーマネジメントフローの1つを、そこに移行しているところだ」と述べる。
Rascanelli氏は、「Towerは、格安で入手することができた」と言う。「われわれは工場を建設する必要なく、Intel工場の一部を利用して、当社のパワーマネジメントフローを実現することができるのだ。2025年に生産開始予定であるため、間もなくその恩恵を得られるようになるだろう」(同氏)
Towerは、Intelにとって必要な新しい顧客の1社となった。
Racanelli氏は、「われわれは事実上、Intel Foundryの顧客であるが、使用するのは自社技術だ。Intel工場の一角に自社製ツールを設置しているため、実際のところIntel工場の一部を借りているといえる。しかし、人材はIntelの社員であり、大規模工場の一部であるため、非常に効率的な方法だ。オペレーターやインフラなど、共有できるさまざまなものは全て、はるかに大規模な工場全体で共有されている。われわれが利用できるのはそのほんの一部だが、非常に規模の大きい工場を利用するため、優れたコスト効率で稼働させることができる」と述べる。
Towerのプロセス技術は、0.25μm〜45nmの範囲のレガシーノードと呼ばれるものだ。Racanelli氏は、「中国製の安価なレガシーチップの流入を恐れるのはまだ早い」と述べる。
Towerの工場は、イスラエルと米国、日本にある。
Racanelli氏は、「一部のローエンド製品市場では、中国が生産能力を構築しており、脅威になる可能性がある。その一方で、地政学的な状況により、米国や西側企業が台湾/中国の生産能力の利用を制限されているため、台湾が現在、膨大なファウンドリー能力を有しているのは明らかだが、その生産能力が欧米のファウンドリーに移行していくというチャンスも見えている。そして当社の工場は全て、西欧諸国にあるのだ」と述べる。
Recanelli氏はレガシーチップに話を戻し、「ローエンド製品に関しては、中国から少しばかり脅威があるかもしれない。例えば、当社が手掛けるディスクリート/MOSFET事業は、最下層に位置付けられる。われわれがこうした事業をあまり重要視していないのは、中国との競争激化が予測されるためだ。一方、多くの顧客企業が、生産の一部を中国だけでなく、むしろ台湾からも欧米のファウンドリーへと移行することに関心を持っている。われわれはその恩恵を享受しているのだ」と語った。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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