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2030年に1000TOPS目指す 車載チップレットでAI導入加速imecはアライアンス設立(2/2 ページ)

» 2025年01月22日 11時30分 公開
[Alan PattersonEE Times]
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チップレット移行で自動車業界の構図が変化?

 チップレットへの移行によって、自動車はさらに多くのAI機能を備えることになると期待されている。

 Herremans氏は、「同乗者や運転者とのやりとりにおいて大規模言語モデル(LLM)などのAIアルゴリズムが使われることで、より自然な会話を実現できるようになるだろう。例えば、どんどん複雑化している車載機能を検索するためのアシスト機能などが考えられる。もちろんこれには、まだ数多くのイノベーションが必要だ」と述べる。

 Xpengのような革新的な中国メーカーはEV分野において、VolkswagenやGeneral Motorsなどの実績ある自動車メーカーをリードしている。XpengやBYDなどは、より多くのドライバーアシスタント機能を搭載したEVを低価格で販売することで、今後10年の間に既存の自動車メーカーを追い抜く構えを見せている。

 Riches氏は、「imecアライアンスが成功した場合、それが与える最も大きな影響は、設計サイクルの短縮だろう。中国の新興EVメーカーは、既存の自動車メーカーよりも迅速にモデルを更新することができるというアドバンテージを持っている」と述べる。

 「設計サイクルが短縮されると、柔軟かつ機敏な企業が有利になるだろう。つまり、既存の全ての自動車メーカーに当てはまるわけではない」(Riches氏)

 自動車サプライチェーンは、BMWのような自動車メーカーを頂点として階層化されていて、その下にコックピットやドアシステムなどのアセンブリを製造するティア1サプライヤーと、制御ユニットや無線装置を提供するティア2メーカーが存在する。NVIDIAを除き、トップクラスの自動車メーカーに直接販売している半導体メーカーはほとんどない。チップレットが登場すれば、このような階層化が変化する可能性がある。

 Herremans氏は、「チップレットメーカーはティア1といえるだろうか。あるいはプラットフォームについての責任をさらに多く担うことになるため、ティア0.5に近いものになるのだろうか。われわれとしては、チップレットがこのサプライチェーンを実際に大きく変えることを期待している。まだ多くのイノベーションが必要な分野だ」と述べている。

 また同氏は、「CPU/GPU/AIコンピュート向けチップレットの専業メーカー各社による新たなサプライチェーンの登場を期待しているが、このようなビジョンはまだ実現していない」と述べる。

 Riches氏は、「この点はまだ結論が出ていない。ルネサス エレクトロニクスのようなメーカーがチップレットに本格的に参入していることから、単一のサプライヤーが市場ニーズに応えるために『組み立て済み』のチップレットを提供するという展望もあるようだ」と述べる。

 Herremans氏は、チップレットアライアンスに参加するメーカーの数がさらに増えていくと予測する。

 「自動車メーカーを含む自動車チェーン全体から、さまざまなメーカーが参加することを期待している。自動車メーカーやティア1、ティア2から、組み立て/テストをアウトソースするアセンブリ/プロセスメーカーやファウンドリーに至るまで、あらゆるメーカーが参加できるようにする必要がある」(Herremans氏)

 現在のところ、大手自動車メーカーの参加企業はBMWだけだ。

 imecによると、imecのチップレットアライアンスは、高度な2.5次元(2.5D)および3次元(3D)パッケージングにおけるimecの実績を活用しているという。世界最大のOSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)であるASEも創設メンバーとしてこのアライアンスに参加している。

 Herremans氏は「ASEは、他のファウンドリーから提供される複数のチップレットの組み立てを行うことができるOSATだ」と語る。

 「私たちは、異種統合の必要性を明確に認識している。異なるファウンドリーから提供されるチップレットは最終処理の手順が異なる可能性があり、課題が生じる。私たちはこれらの異種チップレットをシステムおよびパッケージとして組み立てるときに、チップレット間の信頼性の高い接続が確保されるようにする必要がある」(同氏)

車載半導体は先端プロセスに

 TSMCのエグゼクティブバイスプレジデントであるYuh-Jier Mii氏によると、チップ業界は間もなく、次世代の自動運転レベル4/5(L4/5)向けに前例のない7nmプロセスノードに移行する予定だという。L5は舗装されていない道を含むいかなる状況でも人間による操作を必要としない究極のレベルである。

 Mii氏によれば、自動車用チップには世界で最も先進的なプロセスノードが搭載されるようになるという。

 2024年初めにベルギーのアントワープで開催されたimecのイベントで、Mii氏は「数百〜数千TOPSが必要になるため、トレンドは5nmから3nmへと移行すると考えている。これは自動車業界にとって革命的な変化だ」と述べた。

 最先端でないファウンドリーにも競争の余地があるようだ。Herremans氏は「さまざまなファウンドリーがチップレットを手掛けるようになるだろう。各ファウンドリーは、各チップレットの要件に合わせて最適化されたさまざまな機能を備えている」と語る。

 「問題は、それらのチップレットを誰が組み立てるかだ。先進パッケージングに移行し、独自の組み立て機能を備え、シリコン接続に重点を置いたファウンドリーもある。また、有機パッケージとインターコネクトの領域に重点を置いたOSATエコシステムもある。システムのパフォーマンス要件に応じて、両方の選択肢があり得るだろう」(Herremans氏)

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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