このため、カプセル内視鏡の適用範囲を広げるためには、用途に応じた改良が不可欠だ。まず健康診断に応用するためには、コストを大幅に下げなければならない。共通規格の策定による生産規模の拡大が望まれる。
続いて上部消化管(胃や十二指腸など)への検査に応用するためには、カプセル内視鏡の位置を制御する技術が欠かせない。泳動用アクチュエーターと慣性センサーの装備が試みられている。
また生体組織の採取や手術などに応用するためには、位置制御のほかに、手術用アクチュエーターが必要となる。
現在の研究成果から、次世代のカプセル内視鏡のイメージを推定した。カメラはCMOSイメージセンサー(CIS)と低消費電力ASICの導入によって低コストかつ低消費電力を実現する。撮影用照明は現在の白色LEDから、次世代ではマルチカラーLEDと近赤外LEDを組み合わせたものになる。近赤外光を使うと粘膜下の血管も撮影できる。照明の発光頻度は現行品と次世代品ともにストロボ(間欠発光)を採用して消費電力を抑える。
位置の制御は磁気泳動や磁気誘導などを利用する。位置の認識は3次元慣性センサーをカプセル内視鏡が内蔵することで実施する。被験者(患者)の体位を把握するため、被験者が3次元過慣性センサーを装着することもある。
生体組織の採取や手術の機能は手術用アクチュエータや採取組織の格納機能、遠隔操作用リアルタイム無線送受信機能、定位機能などを組み合わせて実現する。
(次回に続く)
⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.