Marvell Technology(以下、Marvell)が、同社の車載イーサネット事業を25億米ドルでInfineon Technologies(以下、Infineon)に売却する。Marvellは注力するデータセンター事業に開発資源を投入し、競争力を強化していく方針だ。
Marvell Technology(以下、Marvell)は2025年4月7日(米国時間)、同社の車載イーサネット事業を25億米ドルでInfineon Technologies(以下、Infineon)に売却すると発表した。これには、Marvellが展開してきた「Brightlane」ブランドの製品ポートフォリオ(PHYトランシーバーやスイッチ、ブリッジ製品)および関連資産が含まれるという。同取引は、各国/地域の規制当局の承認を経て、2025年内に完了する見込みだ。
Marvellは2025年3月5日、2025年会計年度(2025年2月1日を末日とする)第4四半期および通期の業績を発表。同四半期の売上高は、前年同期比27%増となる18億1700万米ドルで、データセンター事業の売上高は13億6600万米ドルと、全体の75%を占めるまでに成長した。同社は今回、車載イーサネット事業を売却することでデータセンター事業に開発資源を投入し、競争力を強化していく方針だ。
Marvellの会長兼CEOであるMatt Murphy氏は「当社は、2025年度第4四半期売上高の75%をデータセンターエンド市場が占め、データインフラソリューションのリーディングプロバイダーへと変貌を遂げた。今回の売却は、評価額を考慮すれば、Marvellの株主にとって強力な財務的リターンをもたらすものだ。Infineonの車載アプリケーション向けに最適化されたプラットフォームによって、車載イーサネット事業は継続的な成長と成功を実現できると確信している」などとコメントしている。
Infineonは同日、同社が2024年に世界の車載半導体市場シェア(TechInsightsの最新市場調査による)で5年連続の首位になったと発表するなど、車載半導体市場で強みを持つ。今回、同社の車載用マイコンポートフォリオとMarvellの車載用イーサネット事業を統合することで、ソフトウェア定義車両(SDV)向けシステム機能の強化を狙う。
InfineonのCEOを務めるJochen Hanebeck氏は「今回の買収は、車載半導体ソリューションで世界を牽引するプロバイダーである当社にとって、戦略的に非常に適している。当社は、この補完性の高いイーサネット技術を、既存の幅広い製品ポートフォリオと組み合わせることで、SDV向けにさらに包括的で先進的なソリューションを提供していく」と語っている。また、将来的にはヒューマノイドロボット分野など、フィジカルAI分野での新たな機会も狙うという。
Marvellの車載イーサネット事業は米国、ドイツ、アジアに主要拠点を置き、数百人の高度な技術を持つ従業員を擁している。買収取引完了後、同事業は、Infineonのオートモーティブ部門の一部になる予定だ。
MarvellのBrightlane製品ポートフォリオは100Mbps(メガビット/秒)から10Gbpsまでのネットワークデータレートに対応するほか、現在および将来の車載ネットワークに必要なセキュリティと安全機能もサポート。大手自動車メーカー8社を含む、50社以上の自動車メーカーらを顧客とし、2030年まで約40億米ドルの採用確定済みプロジェクトと強力な技術革新ロードマップを有しているという。Infineonは同事業について「当社のグローバルな自動車顧客に対するアクセスを通じさらに加速する可能性が高い」とも説明。2025年には2億2500万〜2億5000万米ドルの収益を上げ、粗利益率は約60%になると予想しているという。また、研究開発力の集中とInfineonの生産リーチ活用によってさらなるコスト相乗効果も期待している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.