センサーの新規プロセスに向けた設備投資については、高野氏は「プロセスノードが上がるとラインそのものを一から作り直すことがあるロジックと異なり、アナログ技術がベースの当社技術は、既存の設備を活用しながら価値を増大させていくことを繰り返してきた」とした上で、「次世代プロセスでは、その追加する部分がこれまでに比べて増える。ただ、既存の設備が使えるということに関しては変わっていない。今回、当社の既存アセットをうまく生かしながら、正常進化という形で、特にファインプロセスの部分を増強していく」と説明した。
現中期経営計画期間(2024〜2026年度)ではこの新規プロセス開発向けの投資は実施する。量産投資は次期中期以降になると想定しているという。
なお、同社は現在、熊本県合志市に新工場を建設中だが、新規プロセスは長崎工場(長崎県諫早市)から導入予定で「それ以降事業の進展に合わせどのような使い方をしていくか、新棟に関しては慎重に判断をしていく」とした。
一方、ロジックについては、大池氏は「40nm、22nmを中心にやっていくが、将来12nmプロセスで価値を上げていくための準備を進めている」と説明。デジタル信号処理の集積度を上げていくことで低電力、高速、高機能化を進める。
12nmプロセスの導入について高野氏は「ロードマップには12nmを使う計画があるが、12nmを必要とする製品群と、現行の22nmや40nmが必要な製品群などさまざまなものがあり、製品に合わせてそれを適用するという形になる。製品ミックスによってその使い方は変わる」と説明していた。
なお、SSSは2024年6月に開催した同様の合同インタビューで、TSMCの子会社でソニーも少数株主として出資するJASMの第一工場で22nmプロセスでの量産準備を進めていてフル稼働時には約4万枚の月産を想定するほか、12nmプロセスも第二工場での量産を計画をしているとしていた。
今回の説明では高野氏は「当社はTSMCに発注している形であり、TSMCの中でどのようなアロケーションをするかは彼らに委ねている」と述べるに留めた。その上で「JASMで12nmプロセスが計画に入っていることは認識している。当社の12nmは量産前で、ファーストファブとしてどこを使うかはTSMCの判断に委ねる。ただ22nmや12nmを増強するというJASMの計画を見ると、彼らとしてはこのような世代に関しても逼迫感があるのでラインを作るのだろうと考えている。その中で彼らが、当社に対して最適なロケーションをしてくれると考えている」と付け加えた。
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