半導体やソフトウェアの受託開発を手掛けるミラクシアエッジテクノロジーは「TECHNO-FRONTIER 2025」(2025年7月23〜25日、東京ビッグサイト)にて、ドローンや自動搬送機の機体が給電スポットと「すれ違うだけ」で給電できるワイヤレス給電ソリューションを紹介した。急速給電が可能な電気二重層キャパシター(EDLC)を用い、通常と異なる給電方式を採用したことで走行しながらの給電を実現している。
半導体やソフトウェアの受託開発を手掛けるミラクシアエッジテクノロジー(以下、ミラクシア)は「TECHNO-FRONTIER 2025」(2025年7月23〜25日、東京ビッグサイト)にて、ドローンや自動搬送機の機体が給電スポットと「すれ違うだけ」で給電できるワイヤレス給電ソリューションを紹介した。
一般的にワイヤレス給電システムにはリチウムイオン電池が用いられることが多いが、ミラクシアのワイヤレス給電ユニットは電気二重層キャパシター(EDLC)を用いている。EDLCはリチウムイオン電池と比べて非常に短い時間での大量に電荷を蓄えられるので、急速充電が実現する。なお、充放電回数も数百万回と非常に高寿命で、メンテナンスの手間やコストを下げられる。
給電方式も通常とは異なるものを採用している。一般的なシステムは送受電コイルがほぼ完全に重ならないと十分な給電を行えないのに対し、ミラクシアのシステムは位置ずれが発生しても送受電量を維持できる。
こうした特徴を生かして、ミラクシアはこのシステムを工場内の無人搬送車(AGV)/自動走行搬送ロボット(AMR)などに搭載し、給電スポットとすれ違うことで給電するという使い方を提案している。給電スポットで停止したりケースにはめ込んだりせずに走行しながら給電できるので、「給電中なので使用できない」ということがなく、効率的に運用できる。
さらに、給電方式の違いによって送受電量の制御を簡略化しているので部品点数を削減でき、小型化も実現する。送電ユニットは148×61×59mm、受電ユニットは120×82×45mmと「出力電力600Wクラスでは業界最小レベル」(ブース説明員)だ。
一方、EDLCのデメリットとして、リチウムイオン電池よりも電力の消耗が早いことが挙げられる。ミラクシアはこれをカバーする方法として、走行ルート上に一定の間隔で給電スポットを配置し、すれ違うたびに少しずつ給電する「ちょこちょこ充電」を提案している。これに合わせて、蓄電量が十分多いときには給電スポットを通過しても給電せず、残り少なくなったときにのみ給電する仕組みを搭載している。
ターゲットは、出力電力が300W〜1.5kW程度の産業機器だ。AGVやAMR、ドローンのほか、電動フォークリフトやマイクロモビリティ、電動車椅子なども想定する。非接触/メンテナンス頻度が低いという強みを生かして水中ドローンなども考えられる。
ミラクシアは、同技術の製品化に向けてパートナーを募集している。
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