ルネサス エレクトロニクスは32ビットマイコン「RAファミリー」の最上位シリーズの新製品として、汎用メインストリーム製品の「RA8M2」と、高度なグラフィックス処理などに適した「RA8D2」を発表した。
ルネサス エレクトロニクスは2025年10月、32ビットマイコン「RAファミリー」の最上位シリーズ「RA8シリーズ」の新製品として、多彩な用途に適した汎用の「RA8M2」と、高度なグラフィックス処理などに適した「RA8D2」を発表した。
RA8M2およびRA8D2は、1GHz動作のArm Cortex-M85コア(Helium対応)と、250MHz動作のCortex-M33コア(オプション)を用いたデュアルコア構成。CPU性能を示すCoreMark値は、合計で「7300」を達成している。
22nmプロセスを採用し、メモリは容量1Mバイトの磁気抵抗メモリ(MRAM)と、同2MバイトのSRAMを搭載した。MRAMはフラッシュメモリに比べ高速書き込みが行え、耐久性やデータ保持性にも優れている。また、Arm Heliumテクノロジーを採用していて、DSPや機械学習(ML)の実装において、大幅な性能向上が期待できるという。
さらに、デュアルコア構成のため、Cortex-M33側でシステムの機能分割やタスク分散処理を効率よく実行できる。メインコアを必要としないときは、Cortex-M85をスリープ状態にしておくことで、システム全体の消費電力を抑えられる。ギガビットイーサネットインタフェースや2ポートのTSNスイッチを内蔵し、産業ネットワークにも対応できる。
RA8D2は、これらの特長に加え最大1280×800の解像度に対応するLCDコントローラーや2Dグラフィックスエンジンを搭載した。Heliumアクセラレーションによって、最大27フレーム/秒のJPEG描画を実現している。
また、カメラ入力として16ビットカメラインタフェース(CEU)や、2レーン構成で各レーン最大720Mビット/秒に対応するMIPI CSI-2カメラインタフェース、画像データのスケーリングやフォーマット変換を行うVINモジュールなどの機能を搭載した。デジタルマイク入力に対応するI2CやPDMオーディオインタフェースも備えている。
パッケージはRA8M2が176端子LQFPあるいは224/289端子BGAで、RA8D2は224/289端子BGAで、それぞれ供給する。
ソフトウェアとしてルネサスのFSP(Flexible Software Package)を利用できる。さまざまなRTOSやBSP(Board Support Package)、周辺ドライバー、ミドルウェアといった基本ソフトウェアに加え、複雑なAIやモーター制御に向けたレファレンスソフトウェアが含まれていて、速やかにアプリケーションを開発できる。
ルネサスは、第2世代「RA8シリーズ」として2025年7月にNPU搭載の「RA8P1」、2025年9月にはモーター制御用の「RA8T2」を発表している。今回の2製品はこれらに続くもので、同社エンベデッドプロセッシング事業部長のDaryl Khoo氏は「今回の新製品発売によって、高性能マイコン市場をターゲットとしたRA8シリーズの新世代ラインアップが完成した。このスケーラブルでセキュア、かつAI対応のポートフォリオによって、産業機器やIoTアプリケーションなど幅広い分野における顧客の新しい価値の創造と開発期間の短縮を支援する。」とコメントしている。
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