自動車/消費者市場は、RISC-V設計の普及率が最も高いが、Wawrzyniak氏は「この命令セットアーキテクチャ(ISA)は、AIに特化されている。RISC-Vにとって幸運なのは、AIが現在進行中であるという点だ。AIチップメーカーは、ArmとRISC-Vの両方のプロセッサアーキテクチャを検討している」と述べる。
また同氏は「AIチップのヘテロジニアスな性質は、RISC-Vにとって都合が良い。SoC(System on Chip)は、RISC-Vと他の命令セットアーキテクチャ(ISA)の両方をサポート可能なため、AIアプリケーションは各機能向けに最適なコアを選ぶことができる」と述べている。RISC-Vは実装をカスタマイズ可能なため、半導体設計者は、適切なサイズのCPUコアを実現することができる。さらに、RISC-Vに拡張機能を追加でき、急速に変化するAIアプリケーションにおいて新規開発も可能だ。
Wawrzyniak氏は、ホストCPU以外でRISC-Vの機能性が使われている最もポピュラーなユースケースとして、有限ステートマシン(Finite State Machine:FSM)とマイコン、コプロセッサを挙げている。「現在ではRISC-Vがよりハイエンドなアプリケーションで使われていることから、ホストCPUの人気も高まっている」と付け加えた。
その格好の例が、NVIDIAが最近、同社の全ての部品でRISC-Vを使用していると認めたことだ。NVIDIA製チップには、10〜40個のRISC-Vコアが搭載されている。同社は、CUDAをRISC-Vプロセッサに移植する計画も発表している。Wawrzyniak氏は「これにより、RISC-Vの重要性が実証され、RISC-V採用に対する反対意見が打ち消された」と述べる。
IntelとNVIDIAが協業を発表したことも、RISC-Vの普及を後押しする可能性がある。BroadcomやGoogle、Metaなどの他のAI大手がRISC-V陣営に参加していることも、RISC-VのAI市場における有用性を実証している。一部のエンジニアからは冗談交じりに、「RISC-Vの『V』は『ベクトル(vector)』を意味する」という声もある。
SiFiveのチーフアーキテクトであるKrste Asanovic氏は基調講演に登壇し、「AIは垂直技術ではなく、さまざまな市場に適用される技術だ。そこにエッジAIが参入し、ハイパースケーラーの枠を超えてこの革新的技術を実世界に提供する。AIデータセンターを補完しながら、劇的な成長を遂げているのだ」と述べた。
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