Wawrzyniak氏は「RISC-Vは、データセンターよりもエッジAI設計において勢いを増している。コンシューマー市場では、エッジAIアプリケーションに、より大きな注目が集まっている」と指摘する。実際、Gallo氏はRISC-V Summitのオープニングセレモニーのスピーチにおいて、Synapticsが最近発表したエッジAIプロセッサ「Astra」について言及した。このAstraには、RISC-V技術をベースとしたGoogleの「Coral NPU」が搭載されているという。
RISC-V市場開発委員会(Market Development Committee)の委員長を務めるMakeljana Shkurti氏は「クラウドがAI革命を活性化したのかもしれないが、AIが真の現実世界に触れるのはエッジだ」と述べている。同氏は基調講演の中で、超低遅延や決定論的計算 、リアルタイム認識、意思決定ループ(Decision Loop)などのエッジAI要件について概要を説明した。
Shkurti氏は、リアルタイムシステム向けに調整されたオープンISAや、制御/認識向けのカスタム拡張のような、RISC-Vのイネーブラーについても説明した。また、DSA(ドメイン特化アーキテクチャ)が、エッジAIデバイスの信頼性や予測可能性をどのように高めるのかという点についても語り、「RISC-VとエッジAIは、同じ方向に進んでいる」と述べた。
サミットの基調講演者たちは、RISC-Vが異なる垂直線上をどのように進化しているのかについて語りながら、RISC-VがMCUからスパコンに至るまで共通標準を提供していることで、スタートアップがプロセッサを数年間ではなく数カ月間で開発できるようになったという点を何度も主張した。「AIの未来は、購入するのではなく、RISC-Vプロセッサで構築することができるのだ」と述べている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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