GSアライアンスは、負極にアルミニウム、電解質に水系電解液を用いたアルミニウムイオン二次電池を開発した。水系電解液を用いたことで安全かつ環境にも優しく、コストダウンが可能となる。
GSアライアンスは2025年11月、負極にアルミニウム、電解質に水系電解液を用いたアルミニウムイオン二次電池を開発したと発表した。水系電解液を用いたことで安全かつ環境にも優しく、コストダウンが可能となる。
富士色素グループのGSアライアンスはこれまで、さまざまな二次電池を開発してきた。アルミニウム空気電池もその1つだが、電解液の蒸発や反応が不安定など、実用化に向けては課題もあったという。
そこで今回は、負極にアルミニウム、正極には炭素系や酸化物系などの材料を検討。電解質は従来のようなイオン液体ではなく、水系の電解液を用いてアルミニウムイオン電池を試作した。アルミニウムイオン電池は、アルミニウムイオンの移動によって充放電を繰り返す。理論電池容量は、リチウムイオン電池に比べ10倍以上も高い。資源的にも豊富に存在するため、低コスト化が可能だ。電池を構成する全ての材料が安全で、爆発や燃焼の心配がない。
試作したアルミニウムイオン電池を評価した。負極アルミニウムの重量に対し、通常の室温大気下、0.025Cの充放電下において、初期容量は約52mAhg-1となり、50サイクルまでの電池容量はほぼ一定だった。しかし、それ以降は劣化した。電池容量も理論値に比べるとかなり低いため、実用化に向けてはこれらを改善していくことが課題だという。電圧は0.7〜0.8Vで、リチウムイオン電池に比べると低いものの、直列回路を増やすなどすれば対応は可能である。
なお、研究成果をまとめた論文は英国王立化学会に受理され、「Energy Advances」の表紙にデザインが採用された。
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電極に「隙間」構築 リチウム空気電池の出力電流を従来比10倍にCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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