三菱電機は、鉄道向け長距離LiDARを開発した。鉄道車両の運転席に搭載すれば、600m先にいる人を検知できる。鉄道沿線に定点設置すれば、600m先にある20cm程度の落下物を検知することができるという。
三菱電機は2025年11月、鉄道向け長距離LiDARを開発したと発表した。鉄道車両の運転席に搭載すれば、600m先にいる人を検知できる。鉄道沿線に定点設置すれば、600m先にある20cm程度の落下物を検知することができるという。
LiDARは、1秒間に数万〜数百万回のレーザー光を照射し、レーザーの反射光が戻ってくるまでの時間や反射光の強さから、対象物までの距離と形を点群データで取得できる。自動車ではLiDARの導入が進むが、最大制動距離が極めて長い鉄道車両などでは、検知精度の点などから適用が難しいとされてきた。
三菱電機は今回、ガルバノスキャナーを用い、レーザー光の水平/垂直視野角を小さくした。レーザー光の間隔を狭めることで点群の密度を高め、より遠くの対象物を高精度に検出できるという。縦、横、高さがそれぞれ1.5m以上の物体であれば、900m先でも検知できることを確認した。
レーザー光の水平/垂直視野角は、ソフトウェアの設定を変更するだけで容易に調整できる。このため、鉄道沿線に定点設置し落下物などを監視する用途では、水平/垂直視野角を小さくする。これにより、600m先にある高さ20cm程度の小さい物体であっても、検出できるという。さらに、LiDAR制御装置に搭載された物体検出AI機能により、検知した障害物(人、車、自転車など)の種類を高速かつ高精度に識別できる。
開発した長距離LiDARの主な仕様は、外形寸法が300×160×150mm、重さは7.0kg、レーザー波長は1550nm、レーザーパルス周期は50kHz。水平視野角は4.5〜45度、垂直視野角は2〜45度、最大検知距離は900mだ。
三菱電機は今回の開発成果を基に、物体検出AI内蔵の鉄道向け長距離LiDARを、2027年度にも製品化していく計画だ。
IOWN APN活用で遠隔地の産業機器をリアルタイム制御、NTT東ら
リアルな3D映像を空中に、三菱電機が新ディスプレイを開発
山手線車両に次世代VVVFインバーター装置、最新SiC搭載
非接触で高精度、新方式の生体センサーを三菱電機が開発
実装面積を削減できるパワー半導体モジュール、三菱電機
車載SiCモジュール強化の三菱電機、独自モジュール「J3」の新製品投入へCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
記事ランキング