東北工業大学と東北大学の研究グループは、InAsコロイド量子ドット溶液を用いて単一電子トランジスタ(SET)構造を作製し、SETが室温で動作することを実証した。
東北工業大学と東北大学の研究グループは2026年1月、InAsコロイド量子ドット溶液を用いて単一電子トランジスタ(SET)構造を作製し、SETが室温で動作することを実証したと発表した。
半導体コロイド量子ドットは、半導体の極微小な粒子で、太陽電池など光電デバイスの活性層材料として注目されている。ただ、単一のコロイド量子ドットにおける電気伝導を詳細に評価するのは技術的に難しく、これまでほとんど行われていなかったという。
研究グループは、2年前にPbSコロイド量子ドット1個を用いてSETを作製し、単一量子ドットにおける電気伝導について、詳細な評価を行うことに成功。室温でSETが動作することも実証してきた。今回はこれらの成果を踏まえ、環境負荷がPbSより低いInAsコロイド量子ドット溶液を用いてSETを作製した。ゲート電極として導電性シリコン基板を用い、量子ドット中の電子数を制御した。
実験では、低温(4K)環境で測定を行い、量子ドットを介して電子が1個ずつ流れていることを示す菱型構造を観測。素子がSETとして機能することを確認した。特に直径が約6nmの量子ドットを用いたSETは、室温(290K)でもSETとして動作することが分かった。
磁場中における特性の変化についても解析した。これにより、量子ドット内に形成される同一軌道で、スピンの向きが異なる2つの電子準位を電流が流れることで、2つの伝導度ピークの位置が、磁場に依存して大きく変化する様子を観測した。これらの結果から、電子の磁場感度を示すg因子は「15」という、極めて大きな値であることが分かった。InAsは本質的に強いスピン軌道相互作用を有する材料である。この特性が顕著なスピン応答を得られる背景にあるとみている。
今回の研究成果は、東北工業大学工学部電気電子工学課程の柴田憲治教授、同学生の滝口智稀氏、佐藤明氏、佐々木悠人氏および、東北大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR)兼電気通信研究所兼大学院工学研究科電子工学専攻兼先端スピントロニクス研究開発センターの大塚朋廣准教授らによるものである。
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