PCの売り上げの低下に苦戦する欧米その他の地域とは異なり、中国ではデスクトップPC/ノートPCの売り上げが堅調だ。PC出荷台数では、Lenovoが首位のHPに迫る勢いを見せている。
米国の市場調査会社であるIHS iSuppliは、2011年第3四半期における世界PC出荷台数ランキングを発表した。それによると、中国のLenovo GroupがDellを抜き、Hewlett-Packard(HP)に続く第2位の座を獲得した。Lenovoの成長は、いまやHPをも脅かす勢いだ。
2011年第3四半期におけるLenovoのPC出荷台数は、前期比14.5%増となる1250万台だった。PC市場全体では、出荷台数が9040万台、成長率が前期比5.5%であったことに比べると、非常に大きな成長を遂げたといえる。
2011年第3四半期の世界PC出荷台数に占めるLenovoのシェアは、同年第2四半期の12.8%から13.9%に増加した。HPとの差はわずか4.1ポイントである。過去3年以上、ここまで僅差につけた企業はなかったという(図1)。
iSuppliでコンピュータプラットフォーム分野の主席アナリストを務めるMatthew Wilkins氏は、報告書の中で「中国の家庭向けPC市場における堅調な需要を受け、Lenovoは今後も成長を続けると予想される。米国や欧州、その他の多くの地域では、景気の低迷やタブレット端末との競争激化の影響でPCの売り上げが鈍化しているが、中国ではデスクトップPC、ノートPC共に堅調に売れ続けている。こうした状況を背景に、Lenovoは米国のライバル企業であるDellを抜き去り、HPと市場首位を争うまでに成長を遂げた」と述べている。
Lenovoは2011年第1四半期の世界PC出荷台数ランキングでは第4位だったが、第3四半期はデスクトップPCとノートPCの出荷台数で、それぞれ前期比12%増と16%増を達成し、第2位につけた。iSuppliは、Lenovoの躍進の要因として、中国の家庭向けPC市場で優勢であったことの他に、NECによる支援やドイツのPCメーカーであるMedionの買収などを挙げている。
一方、2011年第3四半期におけるHPのPC出荷台数は、前期比5.9%増となる1630万台となった。HPの前CEO(最高経営責任者)であるLeo Apotheker氏は、在任中の2011年8月に、同社がPC事業をスピンオフする可能性を示唆している(関連ニュース)。同氏の発言は同事業の成長が低迷していることを受けてのものだと推測されていたが、新CEOに就任したMeg Whitman氏は2011年10月に、PC事業のスピンオフを撤回した。
2011年第3四半期の世界PC出荷台数は9040万台。前年同期比では2.6%増となり、iSuppliの6.8%増という予測を下回る結果となった。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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