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トヨタの急加速事故をNASAが再検証、スズのウィスカが一因か実装技術 カーエレクトロニクス

急加速による事故が報告された2003年型「カムリ」のアクセルペダル位置センサーの一部で、内部にスズのウィスカ(金属表面に成長するひげ状の結晶)が見つかった。アクセルペダルの踏み込み方によっては、ドライバーの意に反した急加速が起きる可能性があるという。

» 2012年01月11日 15時55分 公開
[Rick DeMeis,EE Times]

 「アクセルペダル位置センサー(電子スロットルセンサー)の一部に、回路の短絡を引き起こす可能性があるSn(スズ)ウィスカの発生が見られた」――NASA(米航空宇宙局)は、2011年9月にメリーランド大学カレッジパーク校で開催された「国際スズウィスカシンポジウム(International Tin Whisker Symposium)」で、トヨタ自動車製車両のアクセルペダル位置センサーを再検証した論文を発表し、このように述べた。センサー内部でSnウィスカが発生すると、アクセルペダルの踏み込み方によっては、ドライバーの意に反した急加速が起きる可能性があるという。

 Snウィスカは、急加速による事故が報告された2003年型「カムリ」のアクセルペダル位置センサーの他、同センサーと類似した機能を持つ2種類の部品でも発見されている。ただし、アクセルペダル位置センサー以外の部品について、動作の不具合は報告されていない。

 問題となっているアクセルペダル位置センサーは、2002〜2006年型モデルのカムリに搭載されている。NASAが再検証に使用したカムリは、8万2000マイル(約13万2000km)を走行したものだった。このカムリを提供したオーナーは、「アクセルペダルを踏んだら、『ガソリンが無い』と応答が返ってきたり、突然猛スピードで発進したりするので、とても運転できる代物ではなかった」と述べている。この車両のアクセルペダル位置センサーの内部には、少なくともウィスカが17カ所で発生しており、そのうち1つは接続を短絡させていた。

再調査したアクセルペダル位置センサーの内部 Snウィスカによる短絡 自動車のアクセルペダル位置センサーは、動作の信頼性を確保するためにアクセルペダルの位置の検知を2系統に分けて行っている。左の写真は、再調査したアクセルペダル位置センサーの内部で、ポテンショメーターを2系統使用していることが分かる。これらのポテンショメーターの検知信号は、それぞれ端子VPA1と端子VPA2から出力される。NASAの再調査では、右の写真のようにVPA1端子とVPA2端子の間がSnウィスカで短絡していた。出典:NASA

 同センサーをさらに調査した結果、Snウィスカが発生する現象は、ある特定のロットで起きることが判明した。Snウィスカによる回路の短絡がこれらの事故を引き起こしたとすれば、自動車業界が掲げる安全性に対して懸念が生じることになる。

 NASAの30ページに及ぶ論文では、Snウィスカの物理的作用や、ウィスカ検出のガイドラインなどについても詳述している。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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