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Intelのサーバ向けプラットフォーム、データセンター市場に変革を起こせるかビジネスニュース 市場動向

Intelのハイエンドサーバ向けプラットフォーム「Romley」の投入で、10GbEがいよいよ本格的に普及するとみられている。今後はデータセンター市場に大きな動きが起こる可能性がある。

» 2012年02月09日 11時22分 公開
[Rick Merritt,EE Times]

 Intelが2012年3月に発表する予定の次世代サーバ向けプラットフォーム「Romley」は、10Gビットイーサネット(GbE)の普及を加速すると期待されている。一方で、Intelのライバル企業であるAMD(Advanced Micro Devices)にとっては、ハイエンド市場におけるチャンスが減少することになるだろう。米国カリフォルニア州サンノゼで開催されたイベントに参加した一部のアナリストによると、このような予測は、データセンター市場を揺るがすさまざまな変化のうちの、ほんの一例にすぎないという。

 米国の市場調査会社であるThe Linley Groupでシニアアナリストを務めるBob Wheeler氏は、「Linley Tech Data Center Conference 2012」において、「データセンター市場は現在、大規模な変革が進んでおり、非常にダイナミックな市場となっている。このような変革期には、市場シェアの獲得を可能にするさまざまなチャンスが生み出される」と語っている。

 Intelは2012年3月に、32nmプロセス技術を採用したプロセッサ「Sandy Bridge」のハイエンドサーバ向けバージョンなどを発表する予定だとしている。近年、ハイエンド市場向けの製品の投入を見合わせてきたIntelだが、今回発表される予定の製品には、ハイエンドである4ソケットサーバに対応するチップも含まれているという。

 The Linley Groupで同じくシニアアナリストを務めるJag Bolaria氏は、「Intelの新製品は、これまではAMDが製品を投入するために残されていた市場スペースに入り込むことになるだろう」と述べている。

 Intelの新プロセッサの性能は、「Interlagos」の性能を上回る見込みだ。Interlagosは、AMDの「Bulldozer」アーキテクチャのコアを採用し、32nmプロセス技術を適用したハイエンドサーバ向けチップである。AMDは、Bulldozerコアのアップグレード版である「Piledriver」を採用した、32nmプロセス適用のサーバ向けCPU「Abu Dhabi」で対抗する構えだ。

 IntelのRomleyは、同社の新しいCPUと最新の10GbEチップを搭載した、サーバ向けプラットフォームである。Intelは、先立って開催したイベントにおいて、40nmプロセスを適用した「Twinville」コントローラを採用したボードを披露している。同コントローラは、10GBase-T技術を手掛ける新興企業Aquantiaの物理層ブロックを採用している。これによって、10G Ethernet-over-Copper向けの新しい規格である10GBase-Tへの対応を実現したという。

 10GBase-Tは今後5年の間に、10GbEにおける主流の規格となり、光リンクを必要とする高コストの規格にとって代わるとみられている。一方で、Hewlett-Packard(HP)やIBMなどの各メーカーは、10GbE向けアダプタカードを採用したSandy Bridge対応のボードを展開していく予定だという。これらのメーカーは、10GBase-Tでは量産市場にまだ対応できないとして、さまざまなイーサネットチップのベンダーおよび製品に門戸を開放していくようだ。

 Wheeler氏は、「28nmプロセス技術によって、10GBase-Tにおける消費電力の問題を解決すると予想されている。ポート当たりの消費電力を2W以下に低減できるかもしれない。現在、40nmプロセスの製品は、ポート当たり約3Wの消費電力量を達成することにより、スイッチへの適用を実現しつつある。Romleyが投入されることで、こうしたスイッチの量産が始まるだろう」と付け加えた。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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