バンガロールに新会社を設立し、教育や、メディア、エンタテインメント、ヘルスケア、金融などの分野を中心に、ITの活用に関する研究開発を手掛ける。現地のニーズに応えるサービスを提供するためには、「現地に根付いた研究開発が必須」と判断したという。
リコーは2012年2月15日、インドのバンガロールに、IT分野の研究を手掛ける新会社「Ricoh Innovations Private Limited(略称RIPL)」を同日付で設立すると発表した。RIPLは、米国のシリコンバレーにあるリコーの100%子会社で研究開発業務を担う「Ricoh Innovations, Inc.(略称RII)」の子会社として設立する。すなわちリコーにとっては孫会社にあたる。人員はまず少人数でスタートし、1年以内に約30人規模に拡大する計画だ。
リコーは報道発表資料の中で、「RIPLでは、RIIやリコーで長年培ってきた最先端のITコア技術を、まずインドのニーズに適用し、現地発のITソリューションを創造する。さらに、将来的には類似の環境を持つアフリカ、中東、東南アジアなどの新興国市場に向けた事業機会を探っていく」と述べている。特に、「教育、メディアやエンタテインメント、ヘルスケア、金融などの分野を中心に、研究開発を開始する」(同社)という。例えば教育分野では、RIIが開発したリコー独自の画像認識技術「リコービジュアルサーチ」を応用し、教材の関連情報を入手したり、学生同士でソーシャルネットワークによるアイディアや情報の交換を行ったりして、学習に役立てられるようなスマートフォン用サービスを検討している。
リコーは、インドに研究拠点を開設する狙いについて、IT市場としての大きな成長が見込める点を挙げている。「12億人の人口を抱えるインドは、着実な経済成長を続けており、購買力平価ベースのGDPで現在は日本に次ぐ世界第4位になっている。全人口の平均年齢が約25歳と非常に若く、今後も労働人口が増え続けていくことが大きな特徴。ITインフラが急速に改善するに従い、仕事でも日常生活でも、インターネットのモバイル利用が急激に拡大すると予想される」(同社)。こうした市場において、現地のニーズに応えるサービスを提供するためには、「現地に根付いた研究開発が必須である」(同社)との認識に立ち、RIPLの設立を決めたという。
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