中国は、研究開発費を大幅に増やし、革新的な技術を創出する“イノベーター”への転身に全力を挙げて取り組んでいる。特に、環境技術と新エネルギーの分野に注力するとしている。
米国の市場調査会社であるLux Researchの調査報告書「Profiting from Predictable Policy: Interpreting China's 12th Five Year Plan for Emerging Technology(第12次5カ年計画から読み解く、中国の今後)」によると、中国は第12次5カ年計画で、最先端技術の研究開発費を前回の計画から159%増となる180億米ドルに拡大したという。中国は、イノベーションの創出とエネルギー効率の向上、インフラの構築にかつてないほど集中的に取り組む構えである。
Lux ResearchのアナリストであるXavier Xie氏と同報告書の主執筆者であるRichard Jun Li氏は、「中国は、持続可能な成長を遂げるために、7つの戦略的な新興産業に注力することを決定した。7つの新興産業とは、環境技術、新エネルギー、新エネルギー車、最先端機器、バイオテクノロジー、新材料、ITである」と解説している。なお、中国は、最先端技術の研究開発費として投資する180億米ドルのうち、48%を環境技術に、32%を新エネルギーに、12%をスマートグリッド関連に充てる計画である。
Lux Researchが第12次5カ年計画を詳査した結果、「中国は過去最大となる研究開発費を計上しているが、その額は、まだGDP(Gross Domestic Product:国内総生産)の3%には達していない」という。先進諸国の多くは、最先端の技術力を維持するためにGDPの3%を研究開発費に投じている。
また、中国の科学技術部(Ministry of Science and Technology)の主任は、Lux Researchに対し、「中国企業だけでなく、海外の研究所や多国籍企業が手掛ける共同研究開発プログラムも支援していきたい」と語ったという。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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