高速シリアルインタフェースの開発に使うハイエンドオシロで定評があるLeCroyを、分析計器などを手掛けるTeledyne Technologiesが買収する。電子計測器の分野では近年、大手コングロマリットのDanaherがFlukeとTektronix、Keithleyを次々と買収する動きもあった。
電子測定器メーカーのLeCroy(レクロイ)を、産業機器のコングロマリットであるTeledyne Technologies(テレダイン・テクノロジーズ)が買収する。TeledyneがLeCroyを100%子会社として吸収合併することで最終的な合意に達したとして、2社が共同で2012年5月29日(米国時間)に発表した。
LeCroyは、本社をニューヨーク州チェスナットリッジに置く米国企業で、リアルタイムサンプリング方式のハイエンドオシロスコープや、高速インタフェースのプロトコルアナライザなどを手掛けている。世界に約500名の従業員を抱えており、2011年7月2日を末日とする年間売上高は約1億7810万米ドルだった。
LeCroyを買収するTeledyne Technologiesは、環境/科学/産業などの分野に向けた監視/制御用の分析計器や、デジタル画像処理機器、宇宙/防衛関連の電子機器を手掛ける大手メーカーである*1)。TeledyneはLeCroyの発行済み普通株の全てを、1株当たり14.30米ドルとして現金で買い取る。2012年3月末現在のLeCroyのストックオプションと、株式評価益権および純負債を含めると、この取引の総額はおよそ2億9100万米ドルになるという。既にTeledyneとLeCroyそれぞれの取締役会が、この取引を全会一致で承認済みである。
Teledyne Technologiesは、LeCroyの買収によって、旧来から手掛けてきた分析計器事業のポートフォリオが広がるとしている。さらに、自社の研究開発部門が取り組む独自のInP(インジウム・リン)半導体製造技術や、超高周波のアナログ/デジタル混在回路の設計技術を、LeCroyの製品を通じて商用化できることも狙いの1つに挙げている。
LeCroyは今回の買収について、「TeledyneのInP技術を活用することで、リアルタイム帯域幅が100GHzを超えるようなハイエンドオシロスコープの実現を加速できる」と述べている。
なおLeCroyの日本法人であるレクロイ・ジャパンの広報担当者は、EE Times Japanの取材に対し、2012年6月1日、「米国本社からは、日本国内における事業運営は販売網やサポート体制も含めて何も変わらないと聞いている」とコメントした。
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