「スマホは単なるリモコン代わりじゃもったいない。発想を変えれば、もっと高い付加価値を生み出せる」――。アプリックスは、既存の機器の設計を変えることなく簡単に組み込めることを特長とする小型・低価格のM2M通信モジュールで、新たな形態の“スマート家電”を提案した。
ガイアホールディングスの事業会社で、M2M(Machine to Machine)通信モジュールを新規事業として手掛けるアプリックスは、家庭用の調理器具や健康器具、玩具などに同モジュールを組み込んでスマートフォンと連携させるデモを「CEATEC JAPAN 2012」(2012年10月2〜6日、幕張メッセ)で見せている。同社のM2Mモジュールは既存の機器の設計に手を加えることなく、簡単に追加できることを特長とする(参考記事)。スマートフォンのアプリや、その先にインターネットを介してつながるクラウドサービスと連携させることで、機器の使い勝手を高めたり楽しみ方を広げたりする提案が可能になると説明する。
今回の展示では、コーヒーメーカーやエアロバイク、腕立て伏せ計測機器、鉄道玩具など、さまざまな機器にM2M通信モジュールを実際に内蔵し、スマートフォンと連携した機能を来場者が体験できるようにした。これらの機器はいずれも一般に市販されている既製品である。組み込んだM2M通信モジュールは「JM1-V4D」シリーズ(参考記事)で、Bluetoothを使ってスマートフォンと無線接続する仕組みだ。外形寸法は40mm×18mm。量産時の単価は約630円だという。
例えばコーヒーメーカーでは、ユーザーはスマートフォンに搭載したアプリを操作して、気温や天気に応じてコーヒー豆の湿らせ具合や蒸らし時間を変えたり、豆の種類や味の好みに合わせて湯を注ぐ回数や量を変えたりできる。さらに、インターネット上のサービスと連動させれば、「コーヒーを飲んでいる時間帯や頻度、好みなどに合わせた豆や抽出方法を紹介するなど、新しいビジネスにつなげることもできるだろう」(同社)としている。
同社は、M2M通信モジュールを使ったこうしたスマートフォン連携の狙いを次のように説明する。「大手家電メーカーがこれまでに提案していた“スマート家電”では、スマートフォンは単なるリモコンの代用にとどまっていた。コストの増加に見合うユーザーメリットを生み出せていないのが現状である。当社のM2M通信モジュールを活用すれば、機器の設計を変えることなく、スマートフォンの高い能力を生かして、機器単体では実現できないようなアプリケーションを実現し、高い付加価値を生み出せるようになる」。
なお同社は、M2M通信モジュールの新型品として、Bluetooth Low Energyに対応し、小型化と低消費電力化を推し進めた「JM1-L1」シリーズも開発済みで、2013年の春に出荷を開始する予定である。量産時の単価は200円程度になる見込みだという。
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