アプリックスは、「機器の稼働状態に関連するような信号が通るラインをサンプリングし、その結果をクラウドのサーバに送る。そして信号の意味はクラウド側で判断する」というデータ収集の新たな方法を提案している。
携帯電話機やデジタル家電向けのJavaソフトウェア開発を手掛けるアプリックスは、「安く、簡単にデータを収集できる」をコンセプトに掲げたM2M(Machine to Machine)通信用モジュールを開発し、「第1回ワイヤレスM2M展(M2M展2012、2012年5月9〜11日)」に出品した。同社のブースでは、自転車やスポーツ器具、バーコードスキャナ、体重計、コーヒーメーカー、玩具といった身の回りのさまざまな機器の稼働データをそのモジュールを使って収集するデモを見せている。
M2M通信用モジュールと言うと、どのようなものを想像するだろうか。例えば、低消費電力の無線通信方式「ZigBee」のトランシーバICを搭載したモジュールや、組み込み用の無線LANモジュールを想像する方が多いかもしれない。さまざまな機器の稼働状況やセンサーからの情報を収集しようとしたとき、このような無線モジュールがホストマイコンやセンサーからデータを受け取り、親機などに送る形式が一般的だろう。この場合のデータは、「温度」や「消費電力」だったり、あるいは「健康状態」といった具合に、意味のある情報であることが多い。
アプリックスの提案は、無線通信方式そのものは3G携帯電話回線またはBluetoothを使うが、機器からデータを収集する手法が一風変わっている。機器の稼働状態に関連するような信号が通るラインをサンプリングし、読み取った結果をそのままクラウドのサーバに送るだけ。クラウドサーバ側で、送られてきた信号を解析し、その信号の意味を判別してデータを得る。
簡単な例を挙げると、体重計などでは測定結果を表示する7セグメントの液晶ディスプレイを制御するラインを流れる信号(オン/オフ状態の変化)を収集し、そのデータに簡単な処理を施すだけで、体重の情報が分かることになる。同社によれば、この状態を収集する対象のラインは、USBやI2C、SPI、UARTといったデジタルインタフェースに限らないという。他のデジタルインタフェースや、アナログインタフェースでも、この方法を適用できるとしている。「既存の機器に変更を加えることなく、稼働状態などのデータを収集できることが特徴だ。機器の側はなるべくシンプルに、そしてクラウドサーバ側に複雑な処理を担当させることで、導入コストを抑えられる」(同社)。
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