では、GoogleとSamsungの特許クロスライセンス契約について考察してみよう。
IHS iSuppliのConsumer Electronics and Communication Technologiesでシニアディレクタを務めるFrancis Sideco氏は、「この契約は、長引く特許係争を終息させる一手になるだろう」と述べる。「あるケースでは勝訴し、別のケースでは敗訴する。そんなことを繰り返しても、時間とエネルギーと費用を無駄にするだけだと気付いたのだろう」(Sideco氏)。
だがもっと重要なのは、米国の特許仲介企業であるEpicenter IP Groupでプリンシパルを務めるRon Epstein氏が分析するように「スマートフォンのプラットフォームをめぐる争いは、終わりに近づいている」という点だろう。
GoogleとSamsungの両社が、クロスライセンスに価値を見いだしているのは明らかだ。裏を返せば、スマートフォン事業が成熟しつつあるということだろう。スマートフォン市場がいまだに新興市場とみなされているならば、クロスライセンス契約など成立しなかったはずだ。
スマートフォンはここ数年、エレクトロニクス業界を活気づけるエンジンのような役割を果たしてきた。だが今、スマートフォンメーカーは、画面のサイズ以外に、これといって製品の差異化を図れていない。
スマートフォン業界の現状は、約10年前のPC業界とよく似ている。この頃のPC業界では、ノートPCの目新しさが薄れ、IBMがPC部門をLenovoに売却するといった動きがあった。
今後のスマートフォン市場も、Lenovoをはじめ、HuaweiやZTE、その他米国では名前も知られていないような中国メーカーの製品が台頭していくだろう。
革新的な技術開発が鈍っているスマートフォン市場では、Appleの次の一手が大きな意味を持つはずだ。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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