NTTは、20m離れた場所で話す人の声を明瞭に収音するマイクを開発した。カメラでズームアップするかのように、聞きたい声だけを狙って音を拾うことができる。スポーツ観戦や、大きな会場での質疑応答といった用途を想定している。
NTTは2014年4月16日、20mほど離れた場所で話す人の声から、指定した人の声のみをクリアに収音可能な「ズームアップマイク」を開発したと発表した。スポーツ観戦や中継、大きな会場の質疑応答などにおいて、カメラでズームするかのように、遠く離れた任意の人の声を自由に選んで聞くことが可能になるという。
遠くの音を収音する従来の技術には、ガンマイクやパラボラマイク、マイクアレーなどがあったが、音源が5m以上離れた位置にある場合、受音時の信号対雑音比(S/N比)が低いことや、空間分解能が30度程度と低いことから、周囲の雑音と区別して収音することが難しかった。
ズームアップマイクは、約100本のマイクロホンと、凹型反射板から構成される。音を反射させて遠くの音を収音できる凹型反射板の前に、約100本のマイクロホンを設置することで、それらのマイクロホンの間に生じる位相/振幅差を利用し、3度という空間分解能を実現した。これは、20m離れた場所で話している2人の声を分離できるレベルの分解能だという。
また、約100本のマイクロホンから、全ての音声を録音しておくことで、あとから任意の場所の音をズームアップして聞くことも可能だ。
現在NTTでは、20m先にある音源に対する動作検証は行っていて、今後は20m以上の距離にある音源に対する収音能力について検証作業を進める。2年後を目安として、50m(サッカーコートの長辺の半分)先にある音源をクリアに収音することを目指す。
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