では、実際の展示を見ていこう。
テクノロジーショーケースの目玉の1つが、「人工合成したクモの糸」だ。山形県に本拠地を構えるスパイバー(Spiber)が開発を手掛けている。クモの糸は非常に強じんで、鋼鉄を上回る強度とナイロンを上回る伸縮性を併せ持つ繊維といわれる。「太さ1cmのクモの糸で巣を張れば、ジャンボジェット機を捕えられる」ほどだという。スパイバーは、クモの糸の主成分であるフィブロイン(タンパク質)をベースにしたバイオ素材「QMONOS」の開発に成功した。
QMONOSは、繊維だけでなくスポンジ、フィルム、パウダー、ナノファイバーなどにも加工できる。スパイバーはQMONOSの実用化に向け、2013年に試作研究用施設「PROTOTYPING STUDIO」を建設した。2015年の量産開始を目指している。
電気通信大学は、見た目や動きが手に近く、複雑な動きも実現できる義手を展示している。脳から手に伝わる電子信号を受けて解析し、義手に伝えることで、より滑らかに動くよう設計されている。26個のモーターを搭載し、1つ1つの関節も動くので、握ったり指を折り曲げたりする動作も滑らかで自然だ。
今後は、触覚を感じることもできる義手の市場投入を目指す。
セコムが展示したのは、開発中の小型無人飛行機、いわゆるドローンだ。サイズは60cm四方で、重さはわずか1.6kg。侵入者や不審人物、不審な車などを敷地内で捉えると、自動的に離陸して顔写真や車のナンバープレートをさまざまな角度から撮影する。データはセコムのコントロールセンターに送られる。
巨大なショッピングモールや工場などで、不審人物がいないかどうかを確認したり、困っている人がいないかを探したりといった“みまもり”の用途を想定している。今後は、より長い時間飛行できるドローンを開発していくという。
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