STM32F7シリーズは、STM32F4に比べて処理性能を大幅に向上しつつ、電力効率は同等レベルに抑えた。RUNモード時には、7CoreMark/mW、低消費電力モード時にはストップモードで最低120μA(標準値、ウェイクアップ時間は105μ秒)、スタンバイモードで1.7μA(標準値)、VBATモードで0.1μA(標準値)を達成している。もちろん、STM32F4シリーズとは100%バイナリ互換となっており、「コードサイズやデータサイズの最適化などを行わなくても、STM32F7シリーズへの移行が可能である」(Colonna氏)。このため、システム設計者は新たな機能を実現するためのアプリケーション開発に専念することができるという。
今回発表したSTM32F7シリーズは、90nmの内蔵フラッシュメモリプロセスを用いて製造する。Colonna氏は、「3年前から量産を始めているこのプロセス技術は、現行のSTM32F4シリーズに用いられている安定性の高いプロセスである」と強調する。既に完全動作するシリコンチップが完成し、一部の特定顧客に対してサンプル製品の提供を始めた。パッケージは216端子のTFBGAで供給する。2015年初めには量産製品の出荷を始める予定である。
なお、Cortex-MコアをベースとしたSTM32ファミリは、STM32F7シリーズを加え、8製品シリーズ/30製品ラインとなった。さらに同社は、次世代プロセスノードで2000CoreMarkの性能を持つSTM32F7シリーズを開発していく予定である。
同日には、ARMも32ビットプロセッサ「ARM Cortex-M7」を発表した。ARMによれば、40nmLPプロセスで製造したチップを、400MHzで動作すれば2000CoreMarkを実現できるという。また、今回発表されたSTM32F7シリーズではサポートしていないが、ARMではASIL DおよびSIL 3適合に向けたセーフティパッケージもオプションで用意している。
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