富士通研究所は、LTE-Advancedに対応する無線基地局を、最適に配置するための設計技術を開発した。通信速度をより高速化することができ、従来と同等の通信速度を確保するのであれば、基地局数を約3割削減することが可能となる。
富士通研究所は2014年11月、LTE-Advancedに対応する無線基地局を、最適に配置するための設計技術を開発した。この技術を用いて設計すると、モバイル通信時の通信速度をより高速化することができるという。従来と同等の通信速度を確保するのであれば、基地局数を約3割削減することが可能になる。同社では、今回開発した技術について2016年ごろの実用化を目指している。
LTE-Advancedでは、基地局のカバー範囲が広いマクロセルと、カバー範囲の狭いスモールセルを組み合わせた構成にすることで、通信システムの大容量化に対応しようとしている。LTE-Advancedで採用された基地局間協議伝送では、マクロセルの基地局とスモールセル用の小型基地局の両方から、携帯端末が同一信号を受信することで、セル間の干渉を回避する仕組みとなっている。
しかし、従来の設計ツールでは基地局間協調伝送が考慮されておらず、LTE-Advanced対応の基地局設置に対しては、適切な位置の判断ができなかったという。これに対して同社が開発した技術は、基地局間協調伝送を考慮したシミュレーションを行うことができる。これにより、基地局間協調伝送の機能を持つ基地局の設置位置について、最適な場所を決定することが可能となった。
具体的には、協調伝送時のユーザー割り当て率の合計と、非協調伝送時のユーザー割り当て率の合計から、各ユーザーに対する割り当て率を正しく計算するという。その割り当て率と受信信号品質を基に各ユーザーの通信速度を求める。その合計値によって基地局の設置判定を行う仕組みだ。
同社は今回開発した技術を適用することで、「モバイル通信におけるつながり難さを解消できるとともに、基地局増設による大幅な通信品質の向上が見込める。従来と同程度の通信容量を確保するのであれば、必要な基地局数を約3割削減することができる」とみている。
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