センサーハブのコンセプトは、加速度センサー、ジャイロセンサー、コンパスなどからのデータの収集/処理に特化するというもの。市場では、スマートフォンのセンサーデータ処理にアプリケーションプロセッサを用いるメーカーと、プロセッサとは別にセンサーフュージョンチップを搭載する場合と、2通りが主になっている。メガチップスは、市場が後者に傾いていると確認しているという。
Appleは、既にそのようなチップをモーションコプロセッサ(「M7」や「M8」)として「iPhone」に搭載している(関連記事:「iPhone 6」を分解)。また、Googleは「Android 4.4(KitKat)」以降のバージョンを搭載したスマートフォンにセンサーハブを用いるよう推奨している。
中村氏は、「スマートフォン向けアプリケーションプロセッサ市場への参入を夢見るメーカーなどもういない。ここは既にQualcomm、Samsung Electronics、Appleに支配されている」という。そうした中、メガチップスを含む数社はセンサーフュージョンチップの機会を探している。この市場は、アプリケーションプロセッサと同じくらいの潜在能力があるからだ。
Semico ResearchのTony Massimini氏は、MEMS Industry GroupのWebサイトに、センサーフュージョンの動向についてのブログを投稿した。センサーのフュージョン(融合)が進んでいるが、メーカーの“融合”も進んでいるというものだ。
メーカーの“融合”は2014年だけでも複数に上る。Massimini氏は例としてFairchildによるオランダXsensの買収(2014年5月)、AudienceによるSensor Platformsの買収(2014年6月)、InvenSenseによるフランスMoveaとカナダTrusting Positioning(TPI)の買収(2014年7月)を挙げている。2014年3月にはHillcrest LabsとBosch Sensortecが、ヘッドマウントディスプレイとウェアラブル機器向けのセンサーハブソリューションで協業していることを発表した。
市場がこのように慌ただしいので、メガチップスは、センサーフュージョンコントローラをめぐる競争は当分続くと判断したという。
中村氏は、frizzは特定の用途に向けた製品ではないとしている。メガチップスは、frizzの製品ロードマップとして、音声命令を処理できるバージョンも準備しているという。同氏は、「音声は、とりわけウェアラブル機器に必要不可欠となるユーザーインタフェース(UI)になると考えている」と述べた。frizzは、MEMSマイクと接続できる。マイコンを介する必要は特にない(あっても構わない)。
frizzのエンジニアリングサンプルは既に完成していて、中国のスマートフォンベンダー、地図制作会社、経営者との商談を進めているという。中村氏は「商談先のエコシステムでfrizzをテストし、必要なアプリケーションやサービスを特定することを目指している」と述べた。同氏は、チップベンダーがIoT市場やウェアラブル市場で勝つには、それらの市場向けに垂直的に統合されたアプリケーションとサービスを見つけ出す必要があると考えている。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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