台湾の水不足が、2015年に深刻になると見られている。TSMCやUMCへの影響が懸念されているが、両社とも工場での水再利用を徹底して行っているようだ。
TSMCとUMCは現在のところ、台湾国内の水不足による影響を受けていないようだ。両社が過去数年間にわたり、資源再利用プログラムに取り組んできた成果だといえるだろう。
台湾の政府機関である水資源局によると、台湾の降雨量は1947年以来、最も少ないレベルにあるという。同局は2014年11月に、台湾国内の2つの地域において取水制限を開始した。いずれも、TSMCとUMCの工場の多くが稼働している地域だ。2015年には現状が悪化するとみられていることから、工業/一般用の水供給がさらに厳しく制限されることになるだろう。
TSMCとUMCは現在、全世界のファウンドリ製造量の半分以上を請け負っていて、AppleやQualcommなどをはじめとする顧客企業に提供している。台湾では10年以上前から、半導体メーカーにとって、水不足への対応が課題となっている。このため両社は、これまで徐々に水の再利用量を増加させてきた。
クレディスイス銀行(Credit Suisse)の台北拠点でアナリストを務めるRandy Abrams氏は、「当社は過去にも、TSMCに水再利用の状況について問い合わせをしているが、同社は毎回、『水の再利用は積極的に進めているおかげで、製造を停止するような事態を避けることができている』と主張する。TSMCでは、製造工場における水再利用率は、約90%に達しているようだ」と述べる。
UMCの広報担当者であるRichard Yu氏によると、同社の水再利用率も90%近いという。同氏は、「当社の各工場では、85〜87%の水再利用率を達成している」と述べている。
Yu氏は、UMCのリスク管理に関する発表資料を提示している。それによると、「水供給は、気候変動の影響も受けることから、半導体メーカー各社にとっては極めて重要かつ緊急を要する課題だ」とされている。
香港のSanford C. Bernsteinでアジア地域の半導体業界を担当するシニアリサーチアナリストMark Li氏は、「これはUMCとTSMCだけの問題ではない」と話している。
TSMCは、同社のWebサイトに掲載した発表資料の中で、「地球規模の気候変動による影響で、他の多くの国々でも、水資源の管理/分配に関する問題がますます重要視されるようになっている」と主張している。
台湾では2009年以来、乾期と雨期の間の降水量が極端に変化するようになり、干ばつや洪水などの危険性も高まる一方だ。こうした変化を受け、水資源管理や節水/水不足、緊急対策プログラムなどの重要性が高まっている。こうした状況から、台湾で自然災害が起こった場合に備え、シンガポールや中国の工場に投資するケースも増えている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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