ただ、日本国内にもセルラーモジュールベンダーは複数存在し、海外勢も既に参入を終えている状況。Lee氏も「Telitは後発」と認める。その上で、「Telitには競合にない強みがあり、先行する韓国での事業状況から見ても、2〜3年後に日本国内で20億円以上の売り上げ達成は十分可能な目標だ」とする。
Lee氏が挙げるTelitの強みの1つが、「ユニファイドフォームファクタ」と呼ぶハード、ソフトで互換性を持たせたモジュール製品展開だ。GSMからLTEまでさまざまな携帯電話通信方式が存在する中で、さまざまな通信方式を組み合わせたモジュールをシリーズ展開するが、「同一製品シリーズであれば、形状、ピン配置などハードウェア互換はもとより、ソフトウェアも一切、手を加えることなくモジュールを置き換えることが可能。仕向地に応じて、対応通信方式を変える必要がある中で、開発コスト/期間を大幅に削減できる」とする。
そしてもう1つの強みとして、「m2mAIRサービス」を挙げる。同サービスは、モジュール製品の提供だけでなく、SIMカードからクラウド環境まで、M2Mシステム/IoTに必要なあらゆる要素を一括して提供するもの。「これまで、M2Mシステム/IoTを構築する場合、モジュールからサーバ/クラウドサービスまで、いくつもあるシステム構成要素の各専門ベンダーと接触し、1年以上の長い時間と高い費用を掛ける必要があった。しかも構築したシステムは、ベンダーがバラバラのために、必ずしも構成要素同士で最適化されているわけではなく、性能面も低下する傾向にあった。これに対し、m2mAIRサービスは、Telit1社で全ての要素を提供するものであり、3カ月程度の短い時間で、性能の高いシステムを構築できる。IoTの時代に応じた独自のサービスだ」とする。
「Telitが、こうした包括的なM2Mシステム構築サービスを提供できるのは、2013年にクラウドサービスベンダーの米・ILS Technology(以下、ILS)を買収したため。ILSは米国の大手ITベンダーとのビジネス実績も多く、より専門的なサービスが提供できる」と付け加える。
ドコモ、KDDIと国内通信事業者からの認証取得を受けて、取り組む日本での本格ビジネスはまだ始まったばかりだが、Lee氏は「車載機器で採用に向けた複数の案件が進んでいる他、m2mAIRサービスが決め手となりデジタル民生機器で採用が決まりつつある状況だ」と早期のビジネス立ち上げに向け手応えを感じているようだ。
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