東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の幾原雄一教授らは、ダイヤモンドと窒化ホウ素の接合界面における原子構造を特定することに成功した。今回の研究成果は、共有結合物質同士の接合を用いた新機能材料の研究開発につながるとみられている。
東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の幾原雄一教授らは2015年2月、ダイヤモンドと窒化ホウ素の接合界面における原子構造を特定することに成功した、と発表した。今回の研究成果は、共有結合物質同士の接合を用いた新機能材料の研究開発につながるとみられている。
今回の研究は、幾原教授や王中長准教授、陳春林助教らAIMRの研究グループと、物質・材料研究機構(NIMS)の谷口尚グループリーダー、およびファインセラミックセンター(JFCC)が共同で行った。
研究グループはまず、密度汎関数法に基づく第一原理計算を用いて、エネルギー的に安定な立方晶窒化ホウ素(c−BN)/ダイヤモンド境界面の原子構造を見いだし、窒素−炭素(N−C)結合よりも、ホウ素−炭素(B−C)結合が結合エネルギーは低い構造であることを示した。一方、c−BN/ダイヤモンド境界面の製造については、土台となるダイヤモンド上に、高温高圧下でc−BNの単結晶を成長させるNIMS独自の方法を用いた。
今回試作した境界面を、電子線の線幅が0.1nmの走査透過型電子顕微鏡で観察したところ、理論計算で予測された通りに、ダイヤモンドの炭素原子とc−BNのホウ素原子が結合している様子を確認することができたという。
また、第一原理計算により、六角形の転位ループが独立して存在するとエネルギー的に安定することも見いだした。実際に試作した界面を電子顕微鏡で観察したところ、六角形構造と転位ループの分離を確認することができた。さらに、この境界面上にはc−BNやダイヤモンド単一では持ちえない1次元電気伝導性が現れる可能性も明らかになった、という。
今回の研究成果は、2015年2月17日(英国時間)に英国科学誌「Nature Communications」オンライン版で公開された。
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