TSMCは、10nmプロセスを適用したチップの製造を2017年に開始する。同社は「インテルの10nmチップと同等レベルの性能を実現できると見ている。10nmプロセスで、インテルとの技術的なギャップを埋められるだろう」と述べている。
TSMCは、10nmプロセスを適用したチップの製造を2017年に開始すると発表した。Intelと同じ時期のスタートとなりそうだ。
TSMCでコーポレートコミュニケーションのディレクタを務めるElizabeth Sun氏はEE Timesに対し、「われわれの10nmプロセスは、速度、電力、密度の点において、Intelが10nmプロセスで実現するであろう性能と同等レベルになると見ている。10nmプロセスで、Intelとの技術的なギャップを埋められるだろう」と述べている。
Sun氏は、「ムーアの法則の継続がより困難になっている今、最先端プロセスに膨大な投資ができるメーカーは少なくなっている」と話す。「微細化が進めば、コストは増加する。コストは上昇の一途をたどっているので、投資できるメーカーは多くない」(同氏)。
2015年、TSMCは初めて、設備投資費が半導体業界で最大になると見込まれている。大規模な設備投資によって、Samsung ElectronicsやIntel、GLOBALFOUNDRIESなどのライバルが存在する中、ファウンドリ業界でリードを保つことを狙う。
TSMCの2015年における設備投資費は115億〜120億米ドル。2014年に比べて11.5〜20%増加している。先端プロセスを適用したチップの需要が増えると見込んでのことだ。一方のIntelは、2014年の101億米ドルと同等レベルの96億〜106億米ドル規模になると見られている。
TSMCは、10nmプロセスチップの製造を、台湾の台中拠点で開始する。Sun氏によれば、同拠点の工場では今後、より最先端のプロセスを適用したチップを製造していく予定だという。
中国のニュースサイトであるChinatimes.comによると、同工場では2018年末までに、10nmおよびそれ以降のプロセスのチップを、ウエハー換算で月産9000枚製造することを目指すという。TSMCは2015年2月、5000億ニュー台湾ドル(約160億米ドル)を投資して、台中拠点を拡張すると発表している(関連記事:TSMCが総額160億米ドルの設備投資を発表――台中拠点を拡張へ)。TSMCの台中拠点は2014年、2000億ニュー台湾ドル相当のチップを生産した。これは、同社で製造したチップ全体の28%を占める。
TSMCの共同CEOであるMark Liu氏によれば、同社の2015年における売上高成長率は、半導体業界の平均である12%よりも数%多くなると見られている。2015年第1四半期における売上高は、2210億〜2240億ニュー台湾ドルになる見込みで、これは前年同期比で50%増となる。
TSMCは、10nmプロセスで液浸リソグラフィを用いる予定だ。10nm以降のプロセスに使用するリソグラフィ技術については、まだ発表していない。
Sun氏は、「われわれは現在、10nmプロセスでEUV(極端紫外線)リソグラフィを部分的に適用できるかどうか、ASMLと協業して研究を進めている。部分的に、というのは、いくつかの重要なレイヤーでのみ使用するという意味だ」と説明する。
同氏は、「10nmプロセス以降でのEUVリソグラフィの活用は、同技術が量産向けに実用化できるかにかかっている。われわれは、今後も研究開発を進めていく」と付け加えた。
【翻訳、編集:EE Times Japan】
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