2015年3月、IntelがAlteraに買収を持ちかけていると、複数の米メディアが報じた。実現すれば、Intelにとって過去最大規模の買収となる取引とされていたが、買収額の面で折り合いがつかず、交渉は決裂したようだ。
2015年3月、IntelがAlteraに買収を持ちかけていると、米Wall Street JournalとReutersが報じた*)。だが、買収金額で折り合いがつかず、交渉は決裂したようだ。
*)関連記事:インテルがアルテラ買収で交渉か――受託製造事業強化が狙い?
米Wall Street JournalとReutersによれば、IntelがAlteraに提示した額は130億米ドル(約1.5兆円)とされ、実現すればIntelにとって過去最大の買収案件になるはずだった。ドイツ銀行によると、Intelは、Alteraに、1株当たり50ドル前半、あるいは、2015年3月26日付の株価に45〜53%のプレミアムをつけるという条件を提示したという。ドイツ銀行は、「近年の買収取引のプレミアムは最大でも35%にとどまることが多い中、45〜53%というのは破格のプレミアムだ」と述べている。
Intelの狙いは、PC市場が低迷していることもあり、受託製造事業を強化することだと見られていた。Alteraは、14nmプロセスを採用する次世代FPGAについて、Intelに生産を委託するという契約を締結しており、両社は既に協業関係にあったからだ。一方でアナリストからは、「わずか20億米ドル以下の年間売上高を得るために、130億米ドルを投入するのか」との声も上がっていた。
エレクトロニクス業界のコンサルティング業務を手掛けるInternational Business Strategies(IBS)のプレジデントであるHandel Jones氏はEE Timesに対し、「われわれは、IntelとAlteraの交渉がうまくいくとは、まったく思っていなかった。(130億米ドルという)大金を払うに値するほど、売上高増加の面で貢献できる見込みが少ないからだ」と述べている。
そうなると、次に浮上する疑問は、「Intelは、このままAlteraの10nm FPGA*)も製造するのだろうか。あるいはAlteraは、製造委託先をTSMCに戻すのだろうか」ということだろう。これについては何も分からないが、ドイツ銀行は「Intelが買収意欲を持っているのであれば、次にターゲットとなるのはBroadcomかもしれない」との見解を示している。だが、Broadcomが事業を売却することは、まずないだろうとJones氏は述べる。Broadcomは、ベースバンド事業からは撤退したものの、今後スマートホーム市場や車載市場で伸びるとされるイーサネット、無線、IoT(モノのインターネット)関連の事業では一定の成功を収めており、それを手放す理由は見当たらないからだ。
*)Alteraは、10nmプロセスをFPGAに採用するかどうかについては、発表していない。
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