ロームは2015年4月、パワー半導体素子を全てSiC(炭化ケイ素)デバイスで構成したフルSiCパワーモジュールとして、定格1200V、300Aを実現した「BSM300D12P2E001」を2015年6月から量産出荷すると発表した。
ロームは2015年4月15日、パワー半導体素子を全てSiC(炭化ケイ素)デバイスで構成したフルSiCパワーモジュールとして、定格1200V、300Aを実現した「BSM300D12P2E001」を2015年6月から量産出荷すると発表した。
同社は2012年3月に、SiC-MOSFETとSiC-SBD(ショットキーバリアダイオード)で構成したフルSiCモジュールの量産を開始。これまで、定格1200V/120A品、同/180A品を製品化してきた。今回の新製品は、300A対応で、最も定格電流の大きな製品となる。
大電流化で生じるスイッチング動作時のサージ電圧の上昇に対応するため、パッケージ内部構造を見直して、内部インダクタンスを低減。SiCデバイスの配置や内部パターンも最適化することで、従来品よりも内部インダクタンスを半減することに成功し、定格300Aを実現した。
スイッチング損失については、「同等電流定格の(シリコンによるパワーデバイスを用いた)IGBTモジュールと比較してスイッチング損失を77%低減できた」(同社)とする。スイッチング損失を抑えたことにより、コイルやキャパシタなどのパワーモジュール周辺部品の小型化につながる高周波動作を高効率で行える。ロームによると、30kHz動作時であれば、従来のIGBTモジュールに比べ導通損失を含む総合的な損失を約60%低減し、5kHz動作時の従来IGBTモジュールと同等の損失を実現するとしている。
温度保証は、ジャンクション温度(Tj)が最大175℃、保存温度(Tsag)が−40〜125℃となっている。なお、モジュールはサーミスタを内蔵している。
なお、新製品の製造は、前工程をローム・アポロ(福岡県八女郡広川町)で、後工程は本社工場(京都市)で実施するとしている。
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