では、本日2つめのテーマ「ダイエットの価値とは何か」を考えてみたいと思います。
本連載の第1回において、「『ダイエット(に成功した状態のボディ)は価値がある』と多くの人が思っている」と記載しました。
もちろん、健康面から評価すれば、ダイエットの価値は図りしれないほど大きいです。しかし、今回検討する「ダイエットの価値」とは、「美しさの価値」のことです。
ところが、この「美しさの価値」というやつが実にやっかいなのです。なにせ、万人共有の「美しさ」の基準なるものがありません。
そこで今回は、物品の美的形態を保護する法律である、「意匠法」に助けてもらうことにしました。
意匠法第1条には「産業の発達に寄与することを目的とする」、第2条には「意匠視覚を通じて美感を起こさせるものをいう」、さらに第24条2項において「類似の判断は、需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づく」と規定されています。
つまり、意匠法における「美しさ」とは、「美しいと感じるように仕向けられるものであって、かつ、市場において経済的価値が認められるもの」と把握し、
(1)「美しい状態になろうという積極的な意思」
(2)「美しいことによって対価が得られること」
の2つが必要となると考えます。
さて、ここで、ダイエットを実施している人に「(1)美しい状態になろうという積極的な意思」があることには疑いはないでしょう。
しかし、異性や同性から高い評価を得られる(モテる、羨ましがられる)ことや、バリエーションのある衣服を選択できる自由が、「(2)美しいことによって対価が得られること」になるかは、分かりません。
つまり、私たちの日常から、「ダイエットの価値=美しさの価値」となっているのかを確かめることは、難しいのです。
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