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» 2015年09月29日 11時30分 公開

今は荒削りだが、Watsonは進化し新時代をひらく技術責任者が語るWatsonの可能性(2/2 ページ)

[Rick MerrittEE Times]
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x86対応も検討

 High氏はインタビューの中で、「機械学習などをはじめとする基礎技術は、数十年前から存在していながら、これまで1つにまとめ上げられることがなかった。Watsonも、こうした数々の基礎技術の1つだといえる。市場を中心としたサービスは、どれも個別に提供されているが、いずれもよく似た技術をベースとしていることから、全てのサービスが“Watson”だといえるのではないだろうか」と述べている。

 Watsonは現在のところ、IBMのPowerプロセッサ搭載システム上でのみ動作可能だという。開発チームは、さまざまな種類のx86ベースの小型データセンターに適用させようと、多彩なアイデアを詳細にわたって検討してきた。このような小型データセンターは現在、AmazonやGoogle、Microsoftなどの企業が稼働させている。しかし、まだ最適な技術/ビジネスルートを見つけることができていないという。

 High氏は、「Watsonコードは、Powerプロセッサ上で最適化されていて、CPU使用率やメモリ、I/O帯域幅などに関する要求レベルが高い。これまで、メモリバス上で48Gビット/秒(bps)を超えるようなx86プロセッサは見たことがないが、Powerプロセッサは208Gbpsを実現する。しかし、その208Gbpsのうち、相当量をWatsonが消費している」と述べる。ただし同氏は、その実際の消費量についてはコメントを避けた。

「SyNAPSE」との連携は?

 IBM Researchのアルマデン研究所(Almaden Research Center)の研究グループは現在、人間の脳の仕組みを模倣したニューラルネットワークプロセッサ「SyNAPSE」の開発に取り組んでいる。将来的にこのSyNAPSE上でWatsonコードを動作させるのかどうかは、まだ決まっていないという。

 High氏は、「神経形態学的アーキテクチャを採用する必要性については、議論の余地があるだろう。しかし通常、ディープラーニング(Deep Learning)関連の研究やアルゴリズムは、ニューラルネットワークに関するものがほとんどであるため、その関連性を見いだすことはできても、課題を解決するには至っていない」と述べている。

ロボット関連の取り組みは「研究段階」

 High氏は、RoboBusinessで行われた基調講演の中で、Aldebaran Roboticsの自立型ヒューマノイドロボット「NAO」を使い、“身体性認知コンピューティング(Embodied Cognitive Computing)”に関するデモを披露した。このロボットはデモの中で、High氏とやりとりすることで、自然言語コマンドに反応して対話したり、ウェブ検索を実行したりするなどした。

High氏が紹介した自立型ヒューマノイドロボット「NAO」使用したデモの様子

 同氏は聴衆に向けて、「今回のデモは、デモ全体をコントロールする必要があったため、用意した台本通りに行った。しかしこれにより、ロボットのシステムの一部にWatsonを組み込むというわれわれの研究成果を披露することができたと考えている。今後、毎日の生活の中で、あらゆるもののロボット化が爆発的に進んでいくだろう。その例としては、医療や農業といった分野の他、一般企業なども挙げられる」と語った。

 しかし同氏は、イベントの終了後に行われたインタビューの中で、「IBMのロボット関連の取り組みは、まだ研究段階にすぎない。Watson開発チームはこれまでに、ロボティクス分野への投資を行ったことがない」と述べている。

【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】

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