PC市場は近年、モバイルデバイスの消費者への普及が拡大し続けていることを受け、低迷の一途にある。このような状況は、「Windows 10」が2015年8月に登場することを見越してPCの買い控えが生じたことなどもあり、さらに悪化している。Windows 10の登場により、2015年末までにはPCの出荷数量がわずかながらも増加することが期待されていたが、PC市場の成長をサポートするには至らなかった。米国の市場調査会社であるGartnerやIDCの予測によると、2015年のPC市場規模は、4〜5%縮小する見込みだという。
Durcan氏は、「PC市場は低迷の一途にあるが、当社のメモリチップに関しては、今後も他のエンド市場からの健全な需要が見込めるとみている」と述べる。
同氏は、PC需要が上向いていく兆候がまだ見えていないことについては認めながらも、「販売チャネルでは、PCやPCパーツなどの過剰在庫は生じていない」と明言する。「現在のところ、当社に関連する販売チャネルのPC在庫は、回復の妨げとなるほどの重荷にはなっていない。消費者や企業環境が今後、ホリデーシーズンや2015年末に向けてどう動いていくのかを予測するには、時期尚早ではないだろうか」(同氏)。
また同氏は、「PC需要の低迷は、在庫ではなく需要の問題だ。PCメーカーやディストリビュータは、Windows 10や、Intelが2015年8月に発表した第6世代『Core』プロセッサ(Skylake)などの市場投入に先立って在庫を追加することに、慎重な姿勢を見せていた」と付け加えた。
さらに、「PC市場ではここ3〜6カ月の間、購入側が、どのように商品を手に入れるべきかについて、やや慎重になっていたのではないだろうか。現在のところ、消費者行動や企業行動が今後3〜4カ月の間に、いずれも時期が来れば活気を取り戻していく見込みであることから、その様子を観察していくと面白いのではないかと考えている」と述べる。
「Micronの2015年度第4四半期における利益率は27%だったが、ホリデーシーズンのPC需要が少しでも上向けば、粗利益率をさらに高められる可能性がある。また、PC需要が上向くことで、PC向けDRAMの価格圧力も低減されることになるだろう。もし、PC市場がホリデーシーズンまでに、急激にではなくてもある程度回復すれば、市場全体の価格決定にプラスの影響が及ぶと考えられる」(同氏)。
Samsung Electronicsは2015年7月に、価格決定力を高めるためにDRAM生産量を削減することを発表した。Durcan氏は、「Micronは、2015年8月末から9月初めの短い期間に価格決定力をある程度高めることができたものの、それ以降、また価格圧力が復活し始めた」と述べる。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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