Sevalia氏は、「今は、水晶からの単純な置き換えを提案するだけでなく、プログラマブル機能など、シリコンだからこそできる価値を打ち出し、市場に変化をもたらすことに主眼を置いている」という。
2015年にサンプル出荷、量産を開始した1M〜26MHzの周波数範囲に対応するメガヘルツXO「SiT8021」の製品コンセプトも“シリコンらしさ”に重点が置かれている。
周波数安定性は100ppmであり、「水晶よりも優れてるとは決して言えない」とするが、「ターゲットにしているウェアラブルやIoTデバイス分野で必要とされる精度を上回っている」と意に返さない。一方で、1.5×0.8mmの小型サイズに、3.072MHz発振時100μAという「水晶に比べて10分の1以下」という低消費電流、衝撃に対する強さ、プログラマブル、1つのデバイスで複数デバイスにクロック供給できる点といった数々の“シリコンらしさ”を前面に打ち出す。
「ウェアラブル機器用途で、シリコンの利点が理解され、キロヘルツXOでは、シリコンが主流となった。TCXO、メガヘルツXOでも同様に、シリコンが主流となる日は近いだろう。さらに、今後立ち上がるIoTデバイス市場も、ウェアラブル市場と同様に小型、低消費電力といったニーズの強い市場であり、シリコン発振器が主流になるだろう」との期待を寄せる。
日本でのSiTime製品の販売/サポートを手掛けるメガチップス コーポレートマーケティング室 主任の露口剛司氏は、「一連の新製品投入後、ウェアラブル機器や電池駆動のモバイル機器に限らず、産業機器や監視カメラなどの用途でもたくさんの引き合いを得ている。小型、低消費電力以外にも多くのMEMS発振器の利点が認められてきている結果だと考えている。今後も、さらにMEMS発振器の認知、理解を広げて、販売数量を増やしていく」と語る。なお、メガチップスでは、SiTimeが海外で展開している販促キャンペーンの日本版展開を3月下旬から計画するなど、日本でのSiTimeビジネスを本格化させる方針だとしている。
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