まずは、内閣府が発表している平成27年版の「自殺対策白書」から、2015年度の自殺者数を世代・男女別でご覧頂きます。
わが国では、毎日70人(=2万5427人÷365日)が自殺をしており、これは交通事故死亡者数の実に6.2倍(=2万5427人÷4117人)に相当します。
このように、“自殺大国・日本”をけん引しているのは、私の世代 ――中年男性・おっさん ―― であることは明らかです。
比して、マスコミなどで大々的に取り扱われるティーンエージャーの自殺は、圧倒的に少ないのです。
とはいえ、ティーンエージャーが毎日1.5人(=(373+165)人÷365日)も自殺をしているという事実は、かなり深刻な話だと思います。しかし、ティーンエージャーの自殺でも、「いじめ」「虐待」などの付加的な条件が付かなければ、ニュースとしては取り扱われません。
ましてや「おっさん」の自殺なんぞ、世間にとっては統計情報以上の価値はないのでしょう。ですが、単なる数字のデータであっても、そこにも悲劇はあります。
自殺に追い込まれた人の悲劇は言うまでもありませんが、さらによく考えてみると、毎日平均70人(25427人÷365日)が自殺しているということは、
ことになるのです。これだって十分に悲劇でしょう。
ここで、ちょっと「ティーンエージャーの自殺」に話を戻しますが ――
ティーンの自殺は、2015年は538人でしたが、38年前の1977年には、今より300人近くも多かった(812人/年)のです(厚生省人口動態統計より)。当時の日本国の自殺者の総数は、今よりも5000人も少なかった(2万256人)にもかかわらずです。
当時は、いわゆる「受験戦争」といわれていたころで、「学歴」という価値観が、今よりももっと重視され、絶対的だった時代でした。『受験に負けた者には、未来がない』と思い詰めた子どもたちの多くが、自殺を選択した時代だったのです。
今でこそ「ゆとり教育」への批判の声は大きいですが、あの時代のマスコミ、世間、そして教育現場も含めて、全員一致で「ゆとり」を大合唱していたのです(「ゆとり」に反対していた人間は、相当ディスられていました(本当))。
その時代には、わが国が一体となって、「これ以上、受験戦争で、子ども殺してなるものか」という思いが、確かにあったのです。
閑話休題。
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