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人身事故に遭わない秘策は“都会に住むな”!?世界を「数字」で回してみよう(30) 人身事故(1/10 ページ)

皆さんは、一体どこの誰が人身事故を起こしているのだろうと考えたことはありませんか? 丹念に分析して人身事故の“分布図”を眺めてみると、発生場所が相当偏っていることが分かります。

» 2016年05月30日 11時30分 公開
[江端智一EE Times Japan]
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「世界を『数字』で回してみよう」現在のテーマは「人身事故」。日常的に電車を使っている人なら、一度は怒りを覚えたことがある……というのが本当のところではないでしょうか。今回のシリーズでは、このテーマに思い切って踏み込み、「人身事故」を冷静に分析します。⇒連載バックナンバーはこちらから



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 こちらのメールアドレス(one-under@kobore.net)に『アンケートに応じます』とだけ書いたメールを送付していただくだけで結構です(お名前、自己紹介などは必要ありません)。ぜひ、よろしくお願い致します。

 なお、アンケートにご協力いただいた方には、江端の脱稿直後の(過激なフレーズが残ったまま?の)生原稿を送付させていただくという特典(?)がついております。



 前回の連載第1回で、鉄道の人身事故というのが、「当人が制御できない状態で、突発的に発生する行動の結果」であるというお話をしました。

 事実「その通り」であるし、そして「そうとでも考えなければやってられない」という気持ちもあるからです。

 鉄道を使う飛び込み自殺は、「自殺に追い込まれた人が、助けてくれなかった社会に対して抗議している」 ―― とも、思えます。

 なにより、私が、そのような経験の持ち主だからです(前回を参照)。

 『私の意思に反して、私の足が勝手に、私の体をホームから落下させようとする』という、あの「制御不能」の恐怖は、体験した人にしか分からないと思うのです。

 ところが、先日、『疲れ果てていて、吐きそうなほどしんどい』という日の深夜に、帰宅を不可能にさせかねない人身事故に巻き込まれた時に、私は、体の中に、燃えるような怒りを感じました。

―― 自爆テロ

と、呟きながら。

危機一髪、人身事故の目撃談

 ある日の朝、人身事故の影響で電車が遅着し、打ち合わせの開始時間ギリギリに会議室に駆け込んだ時の事です。先に会議室で待っていた上司が、思い出したように言いました。

上司:「今朝、私も、目の前で線路に飛び込む人を見たんですよ」

江端:「ええっ!」

 人によっては、何度もこういう場面に立ち合う人もいるようですが、私はこれまで一度も経験がありません。

江端:「そ、それで……」

上司:「ええ、その人が落ちたところの寸前で電車が止まったので、命は助かったようです」

江端:「その後、その人はどうなったんですか?」

上司:「立ち上がると、そのままスタスタと歩きだして、その場から立ち去りました」

―― なんだって?

 これは、私の想像のはるか斜め上をいく、現場レポートでした。

 私は、『その場に座り込んで、茫然(ぼうぜん)自失としている』とか、『訳の分からない奇声を発して、暴れ回っていた/泣き叫んでいた』とかいう状況を想像していたのです。

 しかし、「黙って立ち去った」という状況から、私が思い至った結論は、

―― この野郎、この場に至って「格好」をつけやがった

ということでした。

「この期に及んで「格好」をつけやがった野郎」の著者のイメージ図

 もちろん、私は、その現場を見ていないですし、その人は、飛び込んだ瞬間、正気に戻ったのかもしれません。

 よく分からずに、推測だけでいろいろと語ることは厳に慎しむべきだとは思うのですが、それでも、この話は、私を憤慨させるのには十分でした。

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